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不動産会社の担当者を見極める質問リスト|査定書のどこを聞くか

査定額の高さではなく「その数字の作り方を説明できるか」で担当者は見極められます。宅建業法と標準媒介契約約款、国交省の価格査定マニュアルをもとに、相談段階でそのまま読める12の質問と、返答ごとの読み方をまとめました。

不動産会社の担当者を見極める質問リスト|査定書のどこを聞くか

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机の上に、3社ぶんの査定書が並んでいる。

いちばん高い会社と、いちばん低い会社で、800万円の差。どれを信じればいいのか、正直わからない。

この記事の結論

査定額の高さではなく、「その数字の作り方を説明できるか」で担当者を見極めます。

  • まず聞く → 「この金額は、何か月で売れる想定ですか」
  • 次に聞く → 「比べた成約事例を3件、成約日つきで見せてください」
  • 最後に聞く → 「レインズの取引状況は、誰がいつ更新しますか」

査定額は売却価格ではありません。会社が「このくらいで売り出せますよ」と述べた意見です。そして宅建業法は、その意見に根拠を示す義務を課しています。つまり、聞いていい。聞くのが前提の制度になっています。


この記事の目次
  1. なぜ会社によって査定額がこんなに違うのか 💰
  2. 査定額は「いくらで売れる額」ではない 📋
  3. 査定書の「どこ」を聞けばいいのか 📊
  4. そのまま読める質問リスト12個と、返答の読み方
  5. A. 査定額の作り方を聞く(4問)
  6. B. 売り方を聞く(4問)
  7. C. 契約と情報公開を聞く(4問)
  8. 媒介契約を結ぶ前に、ここだけは見る
  9. 囲い込みを、自分で見張る 🗾
  10. 営業電話への警戒は、正しい
  11. 相場は、会社に聞く前に自分で見ておく
  12. この記事のまとめ

なぜ会社によって査定額がこんなに違うのか 💰

この章でわかるのは、差が出る「正常な理由」と「営業上の理由」の見分け方です。

査定額が割れる2つの理由 同じ家なのに、A社・B社・C社の査定額が割れる 正常に割れる理由 ・比較に選んだ成約事例が違う ・建物の評価(劣化・リフォーム)が違う ・流通性比率(売りやすさ)の判断が違う ・想定する売却期間が違う → 聞けば説明できる 営業上の理由で割れる場合 ・媒介契約を取るための上乗せ ・根拠が「近隣の売出価格」だけ ・事例の成約日を示せない ・売れなければ後から値下げ提案 → 聞くと答えが濁る 見分ける道具は、金額ではなく「質問」です

査定額がばらつくこと自体は、おかしなことではありません。比べる事例をどれにするか、建物の傷みをどう見るか、判断が入るからです。

問題は、判断が入る場所を隠したまま数字だけ大きくするやり方があること。これは業界内でも語られています。

Yahoo!知恵袋の「不動産査定って会社によってそんなに大きく変わりますか?」という質問には、「経験則的に言えば、上下20%は違いますね」という回答が付いています。同じ回答には、こうも書かれていました。

高い査定を出すことで「弊社は営業力あるから、この位でも売れますよ」位に言って、売却依頼をもらいたい

別の質問「不動産の提示するチャレンジ価格で売買できる可能性はどれぐらいですか?」に対しては、不動産コンサルタントを名乗る回答者が「ほぼナシです。チャレンジ価格なんて、媒介契約を取るためのアメです」と答えています。

匿名の書き込みなので、これ自体を事実の証拠にはできません。ただ、こういう見方が業界の内側から出てくること自体は、頭の隅に置いておいていい。

正直に言うと、私がこの取材で一番「知られていないな」と感じたのは次の点です。査定の根拠を示すのはサービスではなく法律上の義務で、そのために会社がかけた費用は売主に請求できない、と国の通達にはっきり書かれています。


査定額は「いくらで売れる額」ではない 📋

この章でわかるのは、査定価格という数字の正体です。ここを取り違えると、あとの質問が全部ずれます。

査定価格・売り出し価格・売買価格の関係 査定価格 会社が述べた「意見」 根拠の明示は法律上の義務 売り出し価格 売主が決める 査定価格はその参考 売買価格 買主との交渉で決まる 査定価格とは別物 査定価格は「3か月程度で買い手が付くこと」を目安に算出される 出典:不動産流通推進センター「既存住宅価格査定マニュアル利用の手引き」

公益財団法人 不動産流通推進センターの手引きには、査定価格の役割がこう書かれています。「査定価格は、売り出し価格の参考として3ヶ月程度で買い手が付くことを目安に算出します」。

不動産流通推進センターの価格査定マニュアル紹介ページ
不動産流通推進センターの価格査定マニュアル紹介ページ(retpc.jp・2026-09-29時点の画面)

ここが効いてきます。査定額には、必ず「期間」という条件が隠れているわけです。

だから最初の質問はこうなります。「この金額は、何か月で売れる想定ですか」。6か月でも1年でもいいから売りたいのか、3か月で現金化したいのか。前提が違えば数字も違って当然です。

同じ手引きには、宅建業法の解釈・運用の考え方の該当部分も引用されています。根拠の示し方について、国はこう整理しています。

国の通達に書かれていること 売主にとっての意味
根拠は「価格査定マニュアル」や同種の取引事例など、合理的な説明がつくものであること 「経験と勘です」は根拠にならない
根拠の明示は口頭でも書面でもよい 査定書を出す義務まではない。ただし出せる会社は多い
書面のときは「鑑定評価書ではない」と明記すること 査定書は不動産鑑定士の鑑定評価とは別物
必ずしも依頼者の納得を得ることは要さないが、合理的でなければならない 納得させる義務はないが、筋は通っている必要がある
根拠の明示は法律上の義務なので、査定に要した費用は依頼者に請求できない 査定が無料なのは、サービスではなく制度

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最後の行、地味に大きいと思います。「無料で査定してもらったから断りにくい」と感じる人は多い。でも、その費用はもともと請求できないものです。


査定書の「どこ」を聞けばいいのか 📊

この章でわかるのは、査定書のなかで根拠が宿っている4つの欄です。

国土交通省が利用を推奨している価格査定マニュアルでは、マンションと住宅地は「事例比較方式」、戸建の建物部分は「原価方式」で計算します。式の形が分かると、聞くべき場所も決まります。

事例比較方式の式と、聞くべき4つの欄 マンション・土地の査定額はこの掛け算でできている 事例の単価 万円/㎡ × 評点の比 査定物件 ÷ 事例物件 × 面積 専有面積・土地面積 × 流通性比率 売りやすさの調整 質問① その事例、成約日はいつですか。売出価格ではなく成約価格ですか 質問② 評点が下がった項目はどれですか。上がった項目は 質問③ 面積は登記簿・壁芯・実測のどれを使いましたか 質問④ 流通性比率は何倍にしましたか。その理由は 評点の項目:交通の便/近隣の状況/所在階/専有部分/敷地/共用部分/施設・設備/維持管理 出典:不動産流通推進センター「価格査定マニュアルの概要」

センターの資料には、具体的な計算例も載っています。マンションなら「30万円/㎡ × 110点 ÷ 105点 × 70㎡ × 1.00(流通性比率)≒ 2,200万円」という形。土地なら「10万円/㎡ × 110点 ÷ 105点 × 100㎡ × 1.00 ≒ 1,048万円」。

数式を覚える必要はありません。覚えるのは「単価・評点・面積・流通性比率」の4語だけでいい。

このうち、いちばん人の判断が入るのが流通性比率です。センターの資料では「査定物件が売りやすいか、売りにくいかという市場流通性の度合いを表したもの」と説明されています。ここを1.05にするか0.95にするかで、数千万円の物件なら100万円単位で動く。

そして事例選び。手引きには、事例地の選び方としてこう書かれています。

  • 成約日が査定時点から半年以内の物件
  • 査定地と同品等(グレードが同じ)、同規模の物件
  • 査定地と同一圏内(最寄駅からの徒歩圏やバス圏が同じ)の物件
  • 査定地と同じ都市計画区域の物件

つまり「半年以内の成約事例を、同じ駅圏から」が基本形です。担当者が持ってきた事例が2年前のものだったり、成約価格ではなく売出価格だったりしたら、そこを突く。

戸建の建物部分は原価方式で、標準建築費に「規模修正率」「新耐震基準適合性」「建物の品等格差率」「現価率」をかけて現在の単価を出します。ここでは、築年数だけで機械的に下げていないかを聞くのが効きます。リフォーム履歴や住宅性能評価書があれば加点材料になるからです。

もうひとつ、あまり語られない話を。手引きには、基本情報と基礎躯体のグレードだけを入力した簡便な査定について「これは最低額に近い査定価格です」と明記されています。机上査定(訪問なしの査定)の数字が低めに出るのは、情報が足りないぶん安全側に寄るから。机上と訪問の差だけで担当者を評価しないほうがいい。


そのまま読める質問リスト12個と、返答の読み方

この章は台本です。スマホでこのまま読み上げて構いません。まだ売ると決めていない段階でも使えます。

A. 査定額の作り方を聞く(4問)

質問(そのまま読める形) 安心できる返答 引っかかる返答
「この金額は、何か月で売れる想定ですか」 「3か月想定です。半年かけるならもう少し上も狙えます」と期間と価格をセットで話す 「すぐ売れますよ」と期間をぼかす
「比べた成約事例を3件、成約日つきで見せてください」 その場か後日に、成約日・面積・階数つきの一覧を出す 「社内資料なのでお見せできません」で終わる
「流通性比率は何倍にしましたか。理由も教えてください」 「0.95です。同じマンションで売り出し中が3件あるので」など条件を挙げる 質問の意味自体が通じない
「この金額のうち、土地と建物はいくらずつですか」(戸建の場合) 分けて答え、建物の減価の考え方を説明する 「総額で見てください」とだけ言う

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2問目が、いちばん差が出ます。事例を出せる会社は、そもそも事例を見て査定しています。

B. 売り方を聞く(4問)

質問 安心できる返答 引っかかる返答
「この価格で売れなかったら、次に何をしますか」 反響数の目安と、何週目で何を見直すかを具体的に言う 「そのときは値下げをご相談します」だけ
「広告はどこに、いつまでに出しますか」 掲載先と開始時期を日付で答える 「もちろん全部やります」と抽象的
「御社が買主も見つけた場合、手数料はどうなりますか」 両手仲介になること、手数料が売主・買主の双方から入ることを隠さず説明する 質問をはぐらかす、話題を変える
「内見の希望が入ったら、私にはどのタイミングで連絡が来ますか」 連絡経路と担当者不在時の代理を答える 「その都度ご連絡します」で具体性なし

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3問目は少し勇気が要ります。でも、両手仲介(同じ会社が売主と買主の両方から手数料を受け取る形)は違法ではありません。違法なのは、それを狙って他社に物件を紹介しないことです。堂々と説明する会社のほうが、私は信用できると思っています。

C. 契約と情報公開を聞く(4問)

質問 安心できる返答 引っかかる返答
「媒介契約は3種類ありますが、私の場合どれを勧めますか。理由も」 物件の売りやすさに沿って理由を説明し、一般媒介の選択肢も示す 専属専任だけを勧め、他を説明しない
「レインズの取引状況は、誰がいつ更新しますか」 担当者名と更新タイミングを答え、売主専用画面の見方も案内する 「レインズは業者用なので」と話を閉じる
「登録証明書はいつもらえますか」 契約後の日数を明示し、QRコードの使い方も説明する 「必要になったらお渡しします」
「広告費など、別に請求される費用はありますか」 「特別に依頼された広告以外は請求しません」と言い切る 「場合によっては」と濁す

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最後の質問、根拠があります。標準媒介契約約款の第10条には「甲が乙に特別に依頼した広告の料金又は遠隔地への出張旅費は甲の負担」とあります。裏を返せば、通常の広告費は仲介手数料に含まれているということです。


媒介契約を結ぶ前に、ここだけは見る

この章でわかるのは、契約書のどの行が売主を守っているかです。国土交通省が告示している「標準媒介契約約款」が土台になっています。

媒介契約3種類の比較 縛りが強いほど、会社側の義務も重くなる 専属専任媒介 他社への依頼:できない 自分で見つけた相手 との契約:できない 報告:1週間に1回以上 レインズ登録:5日以内 専任媒介 他社への依頼:できない 自分で見つけた相手 との契約:できる 報告:2週間に1回以上 レインズ登録:7日以内 一般媒介 他社への依頼:できる 自分で見つけた相手 との契約:できる 報告・登録の義務は 約款上は定めなし 有効期間はいずれも3か月を超えない範囲(標準媒介契約約款 第7条)

登録期限の日数は休業日を含みません。報告の方法は「文書または電子メールのいずれか」を選んで契約書に書く決まりです。ここ、地味に重要。メール報告を指定しておけば、記録が残ります。

約款には、売主側に有利な条項もいくつか埋まっています。

  • 第5条3項:売主が価格を変えたいと申し出て、会社がそれを承諾しない場合、会社は根拠を示さなければならない
  • 第14条2項:契約解除にともなう費用償還を請求されても、その額は約定報酬額を超えられない
  • 第17条:会社が信義誠実義務に違反したとき、重要な事項について故意・重過失で事実を告げなかったときなどは、売主から解除できる
  • 第19条2項:約款の定めに反する特約で、売主に不利なものは無効

一方で、売主が不利になる条項もあります。第11条では、専任媒介の有効期間内または満了後2年以内に、会社の紹介で知った相手と会社を排除して直接契約すると、寄与度に応じた報酬を請求されます。「担当者と合わないから外して買主と直接」は、2年間は効きません。

税金や登記の扱いは、契約書の内容だけでは判断できません。譲渡所得や相続がからむときは、税理士・司法書士に個別に確認してください。


囲い込みを、自分で見張る 🗾

この章でわかるのは、2025年1月から売主自身ができるようになった確認作業です。

囲い込みという言葉は、国土交通省が売主向けに配ったリーフレットに、こう定義されています。

一部の宅建業者が自社の利益のため、売主・買主双方の媒介を行うことを目的として、故意に物件の取引状況を隠し、売主の意向に反して物件の紹介を行わないような行為

同じリーフレットは、その害もはっきり書いています。「早期の成約可能性を狭め、売主や買主の利益を損なう可能性があり、市場の公正を害するもの」。例として挙げられているのが、事実に反して「売主都合で一時紹介停止中」と虚偽登録し、他社への紹介を意図的に拒否するケースです。

レインズのステータス管理と売主の確認手順 登録できる取引状況は、この3つだけ 公開中 他社から問い合わせを 受け付けている状態 書面による購入申込みあり 書面の申込みを 受けた状態 売主都合で一時紹介停止中 売主の事情で一時的に 紹介できない状態 登録証明書を 受け取る QRコードから 売主専用画面へ 覚えのない停止に なっていないか確認 登録内容が事実と異なる場合は、宅建業法第65条第1項の指示処分の対象(2025年1月1日施行)

2024年6月28日に公布された施行規則の改正で、専任媒介契約を結んだときにレインズへ登録すべき事項に「宅地建物の取引の申し込みの受付に関する状況」が加えられました。施行は2025年1月1日です。

同時に、会社が売主に交付する登録証明書にQRコードが載るようになりました(運用開始は2025年1月4日)。売主専用画面へたどり着きやすくするためです。

東日本レインズ(東日本不動産流通機構)の公式トップページを見る(reins.or.jp)

国交省のリーフレットは、売主の動きをこんな吹き出しで描いています。「取引状況を確認したら、覚えがないのに『売主都合で紹介停止』になっている…」→ 依頼した宅建業者に問い合わせ。すると「誤った取引状況登録が是正され、買主側の宅建業者から物件への問い合わせが可能になります」。

やることは単純です。媒介契約から1〜2週間後に一度、売却活動中は月に一度、専用画面を開く。それだけで抑止力になります。


営業電話への警戒は、正しい

この章でわかるのは、断り文句に法律の裏付けがあることです。

まず現実から。一括査定に申し込めば、複数社から連絡は来ます。各社は媒介契約を取るために動いているので、それは避けられません。「まだ売ると決めていない」段階の人にとって、これは相当な負担です。

ただ、断ったあとも続く電話は別問題になります。

法令で禁止されている勧誘行為 宅建業法施行規則 第16条の12で禁じられている行為 ハ 名乗らない勧誘 会社名・担当者名・勧誘目的を告げずに 勧誘を始めること ニ 断った後の勧誘継続 「契約しない」「勧誘を受けたくない」と 伝えた後に勧誘を続けること ホ 迷惑な時間の電話・訪問 承諾がなければ、原則として 午後9時〜午前8時は該当しうる ヘ 深夜・長時間で困惑させる 私生活や業務の平穏を害する方法で 相手を困惑させること 2011年10月1日施行。国土交通省の通達(国土動指第26号)で運用の考え方が示されている

通達には、断り方の効き目についても具体的な整理があります。投資用マンションの例で説明されている部分ですが、考え方は同じです。

伝え方 通達での扱い
「このマンションは結構です」 その物件についての勧誘が再勧誘に該当
「マンションは結構です」 投資用に限らず、広くマンションの勧誘が再勧誘に該当
「御社からの勧誘は結構です」 その業者が行う勧誘はすべて再勧誘に該当

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いちばん広く効くのは3行目です。会社名を指して断る。これで、その会社の他の担当者からの電話も、委託先の代行業者からの電話も禁止されます。通達には「同一の宅地建物取引業者の他の担当者や…すべての代行業者の担当者による勧誘も同様に禁止される」と明記されています。

「迷惑を覚えさせるような時間」については、承諾がある場合を除き、特段の理由なく午後9時から午前8時に電話・訪問することが該当すると考えられる、とされています。

それでも止まらないときは、免許を出している役所が相談先です。国土交通大臣免許なら各地方整備局、知事免許なら都道府県の宅建業担当部局。関東地方整備局は建政部 建設産業第二課 不動産業第一係が窓口だと案内しています。

実務的な自衛策としては、こうなります。

  • 申込フォームの備考欄に「連絡はメールのみ希望」と書く
  • 売却用に無料のメールアドレスをひとつ作る
  • 断るときは「御社からの勧誘は結構です」と会社名を指して言う
  • 電話を受けた日時と会社名をメモに残す

最後のメモが、あとで効きます。役所に相談するとき、日時と社名があるかどうかで話の進み方が変わるからです。


相場は、会社に聞く前に自分で見ておく

この章でわかるのは、無料で成約価格を確認できる場所です。査定書を受け取る前に一度見ておくと、質問の精度が上がります。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、2種類の価格情報が公開されています。

国土交通省「不動産情報ライブラリ」の公式トップページ
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の公式トップページ(reinfolib.mlit.go.jp・2026-09-29時点の画面)
情報の種類 出どころ 性格
不動産取引価格情報 取引当事者へのアンケート調査 四半期ごとに公表。実際の取引が元
成約価格情報 指定流通機構(レインズ)保有のデータを加工 個別の取引が特定できないよう加工して公表

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地図から探せますし、CSVでのダウンロードにも対応しています。地価公示・都道府県地価調査の検索や、鑑定評価書情報のダウンロードもここに集まっています。

うちいくら編集部でも、この成約価格情報を使って地域別の集計をしています。集計方法は、公表されている成約価格情報から、物件種別・専有面積帯・最寄駅からの徒歩分数で絞り込み、㎡単価の中央値を取る、というやり方です。

その集計で毎回はっきり出るのが、同じ区の中での駅距離による差です。徒歩5分以内と徒歩11〜15分を分けるだけで、㎡単価の中央値は2割前後ずれます。築年数より先に、駅距離で相場が決まっている地域は多い。

だから査定書を見るときは、比較事例の「最寄駅からの徒歩分数」を必ず確認してください。自分の家が徒歩12分なのに、徒歩4分の事例と比べていたら、その査定額は上振れしています。

なお、過去の推移を見ることはできても、この先の相場を言い当てることは誰にもできません。「今が売り時だから急いだほうがいい」と言われたら、その根拠を聞いてください。根拠が出てこないなら、それは急がせる言葉です。


よくある質問

Q. 査定書をもらえない会社は、やめたほうがいいですか。

書面を出す義務まではありません。国の通達では「根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよい」とされています。ただ、口頭で説明する会社にも、比較した成約事例と流通性比率は聞けます。聞いて答えられるかどうかが判断材料で、紙があるかどうかではありません。

Q. 査定を頼んだら、その会社と契約しないといけませんか。

契約義務はありません。査定にかかった費用も請求できないことになっています。国の通達に「根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できないものである」と書かれています。断って構いません。

Q. 高い査定額を出した会社と契約して、売れなかったらどうなりますか。

多くの場合、値下げの相談になります。媒介契約の有効期間は3か月を超えない範囲と決まっているので、更新しない選択もできます。ただし専任媒介の場合、会社の紹介で知った相手と会社を外して直接契約すると、有効期間の満了後2年以内は報酬を請求されうる点に注意してください。


この記事のまとめ

  • 査定価格は「3か月程度で買い手が付くこと」を目安にした参考値。売却価格ではない
  • 会社には価額の根拠を示す法律上の義務があり、査定費用を売主に請求することはできない
  • 聞くべき欄は4つ。事例の単価・評点・面積・流通性比率
  • 比較事例は「半年以内の成約」「同じ駅圏」が基本。ここがずれていると査定額もずれる
  • 2025年1月から、レインズの取引状況登録が義務化され、売主専用画面で自分で確認できる
  • 断るときは「御社からの勧誘は結構です」。会社を指して断ると、その会社からの勧誘すべてが禁止される

次の一歩は、査定を頼む前に不動産情報ライブラリで自分の地域の成約価格を1回見ること。 15分あれば足ります。数字の土台があるだけで、担当者との会話がまったく変わります。


出典