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不動産の買取と仲介、向いているのはどんな人?価格差7割の中身を整理

買取は仲介相場の7割前後と言われます。その差額に何が含まれているのかを、買取再販企業の公表資料から逆算しました。転勤・相続・築古・告知が必要な物件など、買取が合理的に働く条件も具体的に整理します。

不動産の買取と仲介、向いているのはどんな人?価格差7割の中身を整理

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「来月には転勤が決まりそうなんだけど、家、どうしよう」

「実家、誰も住んでないのに固定資産税だけ払い続けてる」

そういう状態で検索すると、たいてい「買取は仲介の7割」という言葉に行き当たります。1,000万円くらい違う、と書いてある。

では、その3割には何が含まれているのか。そこを説明しているページは、あまりありません。中身が分かると、買取と仲介は「どちらが上か」ではなく「向いている人が違う」話だと見えてきます。

この記事の結論

結論から言うと、こうです。

  1. 差額の正体は「業者の利益」だけではありません。 リフォーム費用、保有中の金利、在庫を抱える期間のコストが大部分を占めます。
  2. 7割は固定値ではありません。 公開されている買取再販企業の決算資料から逆算すると、年によって77%〜84%まで動きます。
  3. 買取が合理的になる条件は4つ。期限がある/相続で共有者が複数いる/築古で旧耐震/告知が必要な物件。ここに当てはまらないなら、まず仲介から考えて大丈夫です。

以下、順に見ていきます。数字はすべて2026年9月7日時点で公開されているものです。

この記事の目次
  1. まず3秒で。あなたはどっちを考えるべきか 🏠
  2. 前提の確認:この記事が当てはまるか
  3. そもそも買取と仲介は、何がどう違うのか 📋
  4. 「買取は7割」は本当か。決算資料から逆算してみる 📊
  5. うちいくらの集計:公表IRから買取率を逆算する
  6. 差額の3割には何が入っているのか
  7. 物件タイプで率が変わる
  8. 差額を、自分の家の金額に置き換える 💰
  9. うちいくらの試算:手取りで比べる
  10. 買取が合理的になる4つの条件 🗾
  11. 条件1:期限が動かせない(転勤・離婚・二重ローン)
  12. 条件2:相続した実家で、共有者が複数いる
  13. 条件3:築古・旧耐震・再建築不可
  14. 条件4:人の死があった物件
  15. 手順:後戻りできる順番で動く
  16. 手順1:会社に連絡せず、自分で相場を見る
  17. 手順2:レインズの成約データで裏を取る
  18. 手順3:仲介の査定を複数社から取る
  19. 手順4:査定額の根拠を聞いておく
  20. 手順5:買取の査定も取る
  21. 手順6:媒介契約の種類を選ぶ
  22. 進め方に迷ったときの確認ポイント
  23. 一次情報:なぜ業者は「7割」で買えるのか 📊
  24. なぜこの2社の資料を使ったのか(選定基準)
  25. この記事のまとめ

まず3秒で。あなたはどっちを考えるべきか 🏠

この章を読むと、自分がどちらの検討から始めればいいかが決まります。判断材料は1つだけ。「いつまでに現金にする必要があるか」です。

いつまでに現金化する? 先に決めるのはここだけ 3か月以内に必要 転勤・離婚・住宅ローン の二重払いが確定 → 買取を軸に 半年〜1年は待てる ただし期限は一応ある (子の入学・退職など) → 併走させる 急いでいない 住みながら売れる 維持費も苦にならない → 仲介から 買取の査定を取ること自体は、仲介をやめる意味にはなりません

期限がないなら、この記事は「知識として」読んでおけば十分です。時間に余裕がある人には、まず仲介からじっくり進める形が向いています。

前提の確認:この記事が当てはまるか

先に、当てはまらないケースを書いておきます。読む時間を無駄にしたくないので。

こういう人 この記事は
自宅マンション・戸建を売ろうか迷い始めた 当てはまります
親から相続した実家が空き家 当てはまります
転勤・離婚・ローンの都合で期限がある いちばん当てはまります
収益物件・一棟アパートを売りたい 前提が違います(買取の相手も価格の決まり方も別)
借地権・底地など権利が複雑 前提が違います(専門の会社に個別相談を)
すでに媒介契約を結んでいる 有効期間と解除条件を先に確認してください

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もうひとつ。査定額は売却価格ではありません。 これは記事の中で何度も出てきます。査定額は「この会社がそのくらいで売れそうだと考えた金額」であって、買主が実際に払う金額ではない。買取の場合だけは業者自身が買主なので近くなりますが、それでも契約前の数字は動きます。

そもそも買取と仲介は、何がどう違うのか 📋

この章では、両者の構造の違いを押さえます。ここを理解しておかないと、価格差の意味が読めません。

違いは一言です。買主が「個人」か「不動産会社」か。 それだけで、あとの条件がぜんぶ変わります。

仲介 買取
買主 個人(住むために買う) 不動産会社(売るために買う)
不動産会社の立場 売主と買主の間を取り持つ 自分が買主
価格 市場で決まる 会社の再販計画から逆算
期間 買主が現れるまで 合意すれば数日〜数週間
仲介手数料 かかる(上限は法定) 直接買い取りなら原則かからない
内見 何組も来る 原則なし(業者の調査のみ)
近所に知られるか 広告を出すので知られやすい 広告を出さない選択ができる
契約不適合責任 個人売主として負う(特約次第) 免責の特約を結べる場合が多い

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最後の行は地味ですが、実はかなり大きい。少し説明します。

契約不適合責任(引き渡した家が契約の内容と違っていたときに売主が負う責任、という意味です)は、売主が不動産会社で買主が個人の場合、宅地建物取引業法によって「引渡しから2年以上」という縛りがかかります。ところが売主が個人で買主が不動産会社という買取のケースでは、この制限は働きません。だから買取では、雨漏りやシロアリが後から見つかっても売主に請求しない、という契約が組みやすい。

売った半年後に「床下がおかしい」と連絡が来る可能性を、金額で引き受けてもらっている。そういう見方もできます。

仲介 査定・媒介契約 売出し・内見・価格の調整 期間は買主との出会い方で変わる 契約・決済 → 数か月〜 買取 査定・現地調査 価格の交渉 契約・決済 → 数日〜数週間 買取でなくなるのは「内見」と「売れる時期が読めない期間」。 その2つを手放すために払っているのが、価格差です。

「買取は7割」は本当か。決算資料から逆算してみる 📊

ここがこの記事の中心です。7割という数字がどこから来ていて、どのくらい当てになるのかを見ます。

結論を先に言うと、「7割」は目安としては使えますが、固定値ではありません。

うちいくらの集計:公表IRから買取率を逆算する

上場している買取再販企業は、決算説明資料で仕入と販売の平均単価を開示しています。ここから「仕入単価 ÷ 販売単価」を計算すれば、その会社が市場価格の何割で買っているかの目安になります。

集計方法:インテリックスホールディングス「2026年5月期 決算説明資料」(2026年7月開示)に記載された、リノヴェックスマンション(同社が買い取ってリノベーションし再販する区分マンション)の仕入・販売実績を使用。2026年5月期の実額と、資料に記載された前期比の変化率から前期の単価を逆算しました。単位は万円未満四捨五入です。

決算期 仕入平均単価 販売平均単価 仕入÷販売
2026年5月期 3,214万円(1,047件) 3,824万円(1,043件) 84.0%
2025年5月期(逆算値) 約2,273万円 約2,939万円 約77.3%

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同じ会社でも、1年で7ポイント動いています。中古マンションの仕入競争が強まると、業者は高く買わないと物件を確保できない。買取率は市況で動く数字だということです。

この数字の読み方も書いておきます。 仕入れた物件と販売した物件は同一ではありません。在庫として持ち越すので期ズレがあります。また区分マンションに限った数字で、戸建や地方の物件には当てはまりません。あくまで「同じ会社の、同じ商品の、年ごとの傾向」として読んでください。

差額の3割には何が入っているのか

同じ資料に、答えの一部が書かれています。同社のリノベーション事業の粗利益率は2026年5月期下期で13.0%、2027年5月期の計画は12.7%。そして事業期間は173日(工事63日+販売110日)です。

つまり、仕入から販売までおよそ半年、その間ずっと物件を抱えている。抱えている間は金利も固定資産税もかかる。

再販価格を100とすると 売主が受け取る買取価格 おおむね 70〜84 工事費 保有 金利 利益 工事は約63日、販売は約110日。合計およそ半年、業者が在庫を抱えます。 差額に含まれているもの ・工事費(建築費は木造で2015年比 約1.4倍) ・半年分の金利と固定資産税 ・在庫を抱える期間のコスト ・買主に2年以上の担保責任を負うコスト ・売主が負うはずだった契約不適合責任を引き受ける対価

建築費の話は無視できません。国土交通省の資料によれば、東京の建築費指数は2015年1月から2024年7月にかけて、木造住宅で99.8→138.5と約1.4倍、集合住宅で100.2→132.3と約1.3倍になっています。リフォーム原価が上がれば、その分だけ買取価格の余地は変わります。

物件タイプで率が変わる

一方で、7割とは別の水準になる物件もあります。

地方の空き家再生を手がけるカチタスが金融庁の検討会に出した資料では、同社が仕入れて販売する物件の87%が空き家(2022年3月期1Q、n=1,226)で、築30年から築40年程度の相続を原因とした空き家が中心、平均販売価格は1,501万円(2021年度単体・税抜)と説明されています。

この価格帯で、リフォームに数百万円かける。すると仕入価格は販売価格の半分以下にもなり得ます。首都圏の駅近マンションと、地方の築40年戸建では、同じ「買取」でも率がまったく違う。 ここを一律の7割で語るのは無理があります。

物件タイプ 買取率の傾向 理由
都心・駅近の区分マンション 高め(8割前後も) 買い手が多く、工事範囲が限定的
郊外の中古マンション 中くらい 標準的なリノベーション費用
地方・築古の戸建 控えめ 工事費の比率が大きく、販売期間も長めになる
再建築不可・接道不良 さらに控えめ 買える相手が限られる
告知が必要な物件 個別性が大きい 後述

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差額を、自分の家の金額に置き換える 💰

ここでは、実際にいくら違うのかを計算します。手取りで比べないと意味がないので、仲介手数料も引きます。

まず相場の出発点。公益財団法人不動産流通推進センターの「2026 不動産業統計集」に、東日本不動産流通機構(レインズ)のマーケットウォッチが引用されています。令和8年(2026年)2月の首都圏中古マンション成約物件の数字はこうです。

エリア 成約件数 ㎡単価 平均価格
首都圏 4,241件 85.61万円 5,458万円
東京都 2,227件 119.77万円 7,172万円
神奈川県 980件 60.82万円 4,009万円
埼玉県 549件 45.88万円 3,109万円
千葉県 485件 43.66万円 3,170万円

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同じ資料の注記に、「令和7年1月以降、システム改修に伴う物件登録等の項目必須化により、統計対象物件が拡大している等の影響を受けている可能性がある」と書かれています。前年との比較をするときは、この点を頭に置いてください。統計の側にも断り書きがある、ということです。

うちいくらの試算:手取りで比べる

試算の方法:上の表の平均価格を「仲介で売れた場合の価格」と仮定。仲介手数料は国土交通省が示す上限(400万円超の部分は3.3%、税込。速算で「価格×3.3%+6.6万円」)で計算しました。買取価格は仲介価格の70%と80%の2通り。登記費用や引越し費用など、両方に共通してかかる費用は除いています。

東京都(7,172万円) 神奈川県(4,009万円) 埼玉県(3,109万円)
仲介で売れた価格 7,172万円 4,009万円 3,109万円
仲介手数料(上限) 243.3万円 138.9万円 109.2万円
仲介の手取り 6,928.7万円 3,870.1万円 2,999.8万円
買取80%の場合 5,737.6万円 3,207.2万円 2,487.2万円
手取り差(80%時) −1,191.1万円 −662.9万円 −512.6万円
買取70%の場合 5,020.4万円 2,806.3万円 2,176.3万円
手取り差(70%時) −1,908.3万円 −1,063.8万円 −823.5万円

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埼玉県の中古マンションで、買取率70%なら手取りの差は約820万円。80%なら約510万円。

これを「大きい」と見るか「期間とリスクを引き受けてもらう対価」と見るかは、次の章の条件しだいです。

なお、800万円以下の低廉な空き家等の売買については、令和6年7月以降、仲介手数料の上限が「30万円×1.1倍(33万円)」まで受領できる特例が設けられています(国土交通省の消費者向け案内より)。安い物件では、手数料の考え方そのものが変わります。

買取が合理的になる4つの条件 🗾

この章では、差額を払ってでも買取が合う場面を、具体的に4つ挙げます。あなたがどれかに当てはまるなら、買取の査定を取る意味があります。

条件1:期限が動かせない(転勤・離婚・二重ローン)

いちばん分かりやすい理由です。売れるまでの期間、住宅ローンと転居先の家賃を両方払う。月15万円のローンが残っていれば、半年で90万円です。

さらに、時間をかけるなかで価格を調整することもあります。最初の売出価格から結局10%下げた、というのはよくある話です。3,000万円なら300万円。買取との差が最初から縮んでいた、という結果になることもあります。

ただし「売れないかもしれない」という不安は、それ自体が正確な予測ではありません。 まず後述の手順で相場を調べて、自分の物件が売れやすい部類かどうかを見てから判断してください。

条件2:相続した実家で、共有者が複数いる

これが最も買取が効きます。理由は3つ。

維持費が積み上がる。 空き家でも固定資産税はかかり、庭の管理も必要です。総務省の住宅・土地統計調査(令和5年)をもとにした国土交通省の資料では、空き家などは全国で約880万戸。全住宅ストックに占める「使用目的のない空き家」の割合は全国平均5.9%で、鹿児島県13.6%、高知県12.9%など、8県で10%を超えています。買主が見つかるまでに時間がかかる地域ほど、抱える期間が長くなります。

共有者の合意を何度も取るのが大変。 兄弟3人の共有だと、価格を調整するたびに3人の合意が要ります。買取なら1回で終わります。

税制上の期限がある。 「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特別控除」は、最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円)を譲渡所得から差し引ける制度です。国税庁の説明によると、主な要件は次のとおり。

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 令和9年12月31日までの譲渡であること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 譲渡の時に一定の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊すこと

そして令和6年1月1日以後の譲渡については、譲渡の時から翌年2月15日までの間に耐震基準を満たすことになった場合、または取り壊された場合も対象になりました。買主側が改修や解体を行っても間に合う、という設計です。買取業者はどのみち改修するので、この点で話が合いやすい。

ただし要件は細かく、相続の経緯によって判断が分かれます。適用できるかどうかの最終判断は、必ず税理士に確認してください。 ここでは制度の存在をお伝えするまでにとどめます。

条件3:築古・旧耐震・再建築不可

国土交通省の資料では、2023年時点の住宅ストック約5,567万戸のうち、1980年以前に建築された住宅(築43年以上)が1,181万戸、約21%を占めています。旧耐震基準の時代の建物です。

こうした家は、個人の買主が住宅ローンを組みにくい。買主候補が限られると、仲介での売却期間は長くなります。一方で買取再販業者にとっては、まさに主戦場です。

しかも国は、この分野を税制で後押ししています。「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」では、業者が既存住宅を取得して一定の増改築を行い個人に再販する場合、買主の登録免許税が軽減され、業者の不動産取得税も減額されます(適用期限は令和9年3月31日)。さらに令和8年度の税制改正概要では、住宅ローン減税について買取再販住宅は新築住宅と同等の支援水準とされています。

つまり、業者が買った家のほうが、買主にとって税制上有利になる。 だから業者は買える。これは売主が知っておいていい構造です。

条件4:人の死があった物件

ここは誤解が生まれやすい領域なので、一次情報で確かめておきましょう。

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を実際に読むと、こうなっています。

  • 自然死や日常生活の中での不慮の死(老衰、病死、階段からの転落、入浴中の溺死、食事中の誤嚥など)は、賃貸・売買いずれの場合も原則として告げなくてよい
  • ただし、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、告げる対象になる
  • 「発覚から概ね3年経過後は原則として告げなくてよい」という期間のルールは、賃貸借取引についてのものです。売買については、ガイドラインに同様の期間の定めはありません
  • 買主から問われた場合は、経過期間や死因にかかわらず、調査で判明した点を告げる必要がある

「3年経てば告げなくてよい」という説明を目にすることがありますが、それは賃貸借取引のルールです。売買では考え方が違う。ここは押さえておきたい点なので、太字で書いておきます。

告げる内容は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因、特殊清掃等が行われた旨まで。一方で氏名、年齢、住所、家族構成、具体的な死の態様は告げる必要がない、とも書かれています。亡くなった方や遺族の名誉に配慮する趣旨です。

こうした物件は、個人の買主に仲介で売る場合、心理的にも実務的にも負担が大きくなりがちです。買取であれば、価格に織り込んだうえで、専門に扱う業者と1対1で話ができます。

1. 期限が動かせない 転勤・離婚・住宅ローンの二重払い → 待つ期間そのものにお金がかかる → 価格調整で結局縮まることもある 2. 相続・共有者が複数 空き家の維持費と合意形成 → 価格調整のたびに全員の合意が要る → 空き家3,000万円控除に期限あり 3. 築古・旧耐震・再建築不可 1980年以前の住宅は1,181万戸 → 個人買主はローンを組みにくい → 買取再販には税制の後押しがある 4. 告知が必要な物件 人の死の告知ガイドラインの対象 → 売買には「概ね3年」の定めがない → 問われれば期間に関係なく告げる どれにも当てはまらないなら、まずは仲介から考えて構いません

手順:後戻りできる順番で動く

ここからは実務です。1ステップ1動作で書きます。ポイントは、相談を始める前に自分でできることを先に済ませておくことです。

手順1:会社に連絡せず、自分で相場を見る

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、実際の取引価格を検索できます。誰でも、無料で、名前を入力せずに見られます。

同じマンションの他の部屋や、近所の同じくらいの広さの取引が並びます。ここで「だいたいこの辺」という感覚をつかんでおく。

ここを押さえると精度が上がります:不動産情報ライブラリの取引価格情報は、取引をした人へのアンケートで集められたデータです。全件ではありません。件数が少ないエリアでは、たまたま安い1件・高い1件に引っ張られます。3〜5件は見てください。

手順2:レインズの成約データで裏を取る

不動産流通推進センターの「不動産業統計集」(無料PDF)には、レインズの成約物件の平均価格と㎡単価が、都県別・月別で載っています。この記事で使った表もそれです。自分のエリアの水準を確認しておくと、後で提示される査定額の意味が読みやすくなります。

手順3:仲介の査定を複数社から取る

ここで初めて会社に連絡します。連絡するときは、希望する連絡方法を最初のフォームに書いておくとスムーズです。

  • 「連絡はメールのみでお願いします」
  • 「電話は平日19時以降のみ可」

一括査定サイトを使えば、複数社の査定を一度に依頼できます。やりとりを自分のペースで進めたいときは、(a)連絡方法を最初に指定する、(b)依頼社数を絞る、(c)専用の連絡先を用意する、の3つが実際に使えます。希望を伝えておけば、それに沿って進めてもらえます。

手順4:査定額の根拠を聞いておく

複数社から査定が来ると、金額に幅が出ます。これは、会社ごとに想定する売り方・得意なエリア・参照する事例が違うからです。

だから聞いておきたいのは金額だけではなく、「この金額の根拠になった成約事例を3件、教えてください」です。手順1・2で自分で調べた数字と並べれば、その金額がどんな前提で出ているのかがよく分かります。根拠を共有できる担当者とは、その後の相談もかみ合います。

手順5:買取の査定も取る

仲介の査定と並行して、買取の査定も取ります。取っただけで買取に決めることにはなりません。

差額が数字で出て初めて、「この額なら待てる/待てない」の判断ができます。 判断材料を集める段階で選択肢を捨てないでください。

「買取保証」という仕組みを用意している会社もあります。一定期間は仲介で売り、売れなければ約束した価格で買い取る、というものです。設計は会社ごとに異なるので、保証価格・保証期間・媒介契約の種類の3点を、書面で確認しておくと安心です。

手順6:媒介契約の種類を選ぶ

仲介で進める場合は、3種類から選びます。東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」の整理はこうです。

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
有効期間 法律の規定なし 3か月以内 3か月以内
他社への重複依頼 できる できない できない
自分で買主を見つける できる できる できない
レインズ登録義務 原則なし あり あり
報告義務 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上

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どれが合うかは、売り方の希望で変わります。 自分で買主を探す可能性も残しておきたい人には一般媒介、1社に窓口を絞ってこまめに報告を受けたい人には専任・専属専任が向いています。

専任・専属専任では、レインズの売主専用画面で登録内容と取引状況を自分で確認できます。2025年1月1日施行の宅地建物取引業法施行規則改正で、レインズへの登録内容や取引状況の適切な更新が求められることが明確化されました。国土交通省の消費者向け案内によれば、令和7年1月から、売主専用画面へのアクセスがQRコードの読み取りで簡便になっています。

専任・専属専任を選ぶなら、レインズ売主専用画面のログイン方法を受け取って、進み方を自分の目でも見ておきましょう。 状況を共有しながら進められるので、相談がしやすくなります。

進め方に迷ったときの確認ポイント

状況ごとに、考えられる背景と次の一手を並べます。

状況 考えられる背景 次にやること
買取査定が想像と違った 再建築不可・接道不良・旧耐震など、価格の前提になる事情がある 「どの要因をどう評価したか」を項目別に説明してもらう。他社にも同じ質問をする
会社によって買取額に差がある 得意な物件タイプや再販の計画が違う それぞれに「その価格で再販する計画」を聞く。計画の違いが分かると納得して選べる
仲介で3か月、内見が少ない 価格の前提か、情報の出し方を見直す時期 レインズ売主専用画面で登録状況と取引状況を確認。手順1・2の相場と照合
内見は来るが決まらない 価格より、物件の状態や条件の伝え方が効いていることが多い 内見後の感想を担当者から具体的に聞き出し、次の一手を一緒に決める
共有者の意見が割れる 期待価格が人によって違う 全員で同じ査定書と同じ相場データを見る。数字を共通化してから話す

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一次情報:なぜ業者は「7割」で買えるのか 📊

最後に、市場の側から裏を取ります。ここを読むと、買取という選択肢がこれだけ増えている理由が分かります。

国土交通省が公表している2つの指数を並べると、構造がはっきりします(いずれも2010年=100、不動産流通推進センター「2026 不動産業統計集」掲載値)。

指数 何を測るか 令和7年(2025年)
既存住宅販売量指数(全国・合計) 個人が購入した既存住宅の販売量 129.3
法人取引量指数(全国・合計) 法人が取得した住宅・非住宅の取引量 278.7

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15年で、個人向けは約1.3倍。法人による取得は約2.8倍。買う側としての法人(=買取業者)のほうが、はるかに速く伸びています。

背景も一次情報で確認できます。国土交通省の資料によれば、既存住宅流通量のシェアは2013年の30.8%から2023年の40.4%へ、10年で9.6ポイント上昇しました。戸建住宅に限っても22.4%から30.5%へ8.1ポイント上昇しています。

そして不動産価格指数(2010年平均=100)では、2024年時点でマンション(区分所有)が202.2、戸建住宅が115.6、住宅地が115.0。マンションだけが突出しています。

つまり業者から見ると、中古マンションは仕入れて直せば売れる商品です。だから買取率が8割に近づく。一方、地方の築古戸建は工事費の比率が高く、販売期間も長めになる。だから率の水準が変わる。「7割」という単一の数字が実態を表しきれないのは、市場の構造がそうなっているからです。

なぜこの2社の資料を使ったのか(選定基準)

この記事で数値を引用した買取再販企業は2社です。ランキングでも推奨でもありません。選定の基準は次の3つだけです。

  1. 上場企業で、決算説明資料または公的な検討会資料が誰でも閲覧できること(公開されている数字で検証できるため)
  2. 仕入と販売の平均単価、または平均販売価格が明記されていること(買取率の逆算に必要なため)
  3. 取扱物件のタイプが対照的であること(首都圏の区分マンションと、地方の築古戸建。1社だけでは市場の幅が見えないため)

この3つを満たす資料を探した結果、インテリックスホールディングス(首都圏・区分マンション)と、カチタス(地方・戸建の空き家再生)の資料を使いました。他社との優劣を示すものではありません。

よくある質問

Q. 買取だと仲介手数料はかからないのですか?

不動産会社が自ら買主になる場合、その会社は仲介をしていないので、原則として仲介手数料は発生しません。ただし、別の会社が間に入って買取業者を紹介する形なら手数料が発生します。誰が買主で、誰が仲介しているのかを、契約書の当事者欄で確認してください。 手数料の有無はそこで決まります。

Q. 買取を頼んだら、その場で決めないといけませんか?

いいえ。査定を受けることと売ることは別です。「持ち帰って検討します」と伝えて構いません。家族や共有者と相談してから決める人も多く、そのための時間を取るのは自然な進め方です。

Q. マイホームを売ると税金がかかりますか。買取でも控除は使えますか?

自宅を売って利益(譲渡所得)が出た場合、「マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除」を使える可能性があります。国税庁の説明では、売った年の前年・前々年にこの特例等を受けていないことなどが要件です。また、親子や夫婦、生計を一にする親族、特殊な関係のある法人への売却は対象外とされています。買取業者が特殊な関係にあたるケースは通常想定されませんが、要件の当てはめは個別判断です。最終的には税理士に確認してください。

Q. 今は売り時ですか?

将来の相場について、この記事では断定しません。過去の推移としては、不動産価格指数でマンションが2010年比202.2(2024年時点)まで上昇し、レインズの首都圏中古マンション成約価格も上昇が続いてきた、という事実はあります。ただしそれは過去の数字であって、これからどうなるかを保証するものではありません。判断材料にすべきなのは相場予測ではなく、あなた自身の期限です。

Q. 事故物件でも買い取ってもらえますか?

告知が必要な物件を専門に扱う会社もあります。価格は個別性が非常に大きく、一般的な相場は示せません。売主として大切なのは、告知書(物件状況等報告書)に事実を正確に記載することです。ガイドラインにも、故意に告知しなかった場合には民事上の責任を問われる可能性がある旨を、媒介業者があらかじめ売主に伝えることが望ましいと書かれています。正確に伝えておくことが、引き渡した後の安心につながります。

この記事のまとめ

  • 「買取は仲介の7割」は目安。固定値ではありません。 公表資料から逆算すると、同じ会社でも1年で77%→84%と動きます。物件タイプの差はさらに大きい。
  • 差額は業者の利益だけではありません。 工事費、半年分の保有コスト、在庫を抱える期間のコスト、そして売主が負うはずだった契約不適合責任の引き受け対価が含まれます。
  • 買取が合理的になるのは4条件。 期限が動かせない/相続で共有者が複数/築古・旧耐震/告知が必要な物件。どれにも当てはまらないなら、まず仲介から考えて構いません。買取と仲介は優劣ではなく、向いている人が違う選択肢です。
  • 「人の死の告知」の3年ルールは賃貸の話です。 売買には期間の定めがなく、買主から問われれば経過期間に関係なく告げる必要があります。
  • 査定額は売却価格ではありません。 金額だけで比べる前に、根拠になった成約事例を3件出してもらいましょう。

次にやること:不動産会社に連絡する前に、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で自分の家の周辺の取引価格を3〜5件見てください。ここまでは、誰にも名前を知られずにできます。数字を持ってから相談すれば、担当者との話もかみ合い、納得して選べます。

本記事の価格・制度は2026年9月7日時点の公開情報に基づきます。税務・法務の個別判断については、税理士・司法書士にご相談ください。

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