うちいくら?国の成約データで、うちの値段がわかる
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内覧で買主が本当に見ている場所|成約した家と残った家の違い

中古住宅を買った人が「決め手」に挙げた項目を国交省調査から読み解き、内覧準備のうち価格に効くもの・効かないものを仕分けます。売却前にリフォームすべきかの判断基準と、査定を頼む前にやることも整理しました。

内覧で買主が本当に見ている場所|成約した家と残った家の違い

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日曜の午後、内覧が入った。前の晩から風呂の鏡を磨いて、洗面台の水滴を拭いて、玄関の靴を全部しまった。

買主はリビングを一周して、ベランダを覗いて、20分で帰っていった。一週間後、「他を検討します」と連絡が来る。

何が足りなかったんだろう。ここ、わりと多くの売主がぶつかるところです。

この記事の結論

内覧で買主が見ているのは「掃除で変えられる部分」ではなく、「間取り・広さ・立地」という変えられない部分です。

  • まずやる → 水回りと玄関の生活感を消す(費用ゼロ〜数万円)
  • 次にやる → 各部屋を「広く見せる」ための物減らし
  • やらなくていい → 数十万円以上かけた設備の入れ替え

この記事の目次
  1. 買主が「決め手」に挙げたのは、掃除で変わる場所ではなかった 📊
  2. 内覧の30分、買主はどこに長くいるのか
  3. リフォームはすべきか。判断基準は3つだけ 💰
  4. 価格に効く準備と、効かない準備を仕分ける 📋
  5. 成約した家としなかった家、いちばん大きな違いは価格だった
  6. 査定額は、売却価格ではありません
  7. まず自分で相場を見るなら、国交省のサイトが無料です 🗾
  8. この記事のまとめ

買主が「決め手」に挙げたのは、掃除で変わる場所ではなかった 📊

国土交通省の令和6年度・住宅市場動向調査は、2023年4月〜2024年3月に実際に中古住宅を買った世帯へのアンケートです。既存(中古)住宅の回収は1,032票。ここで「住宅の選択理由となった設備等」を聞いています。

結果はかなりはっきりしています。

中古マンションを選んだ理由になった「設備等」(複数回答) 国土交通省 令和6年度住宅市場動向調査より 間取り・部屋数 72.3% 住宅の広さ 69.3% 台所の設備・広さ 29.7% 住宅のデザイン 24.8% 浴室の設備・広さ 23.8% 高気密・高断熱 4.0% 上位2つは、掃除でもリフォームでも変えられない項目

中古の戸建でも順番はほぼ同じです。間取り・部屋数が70.7%、広さが67.1%。台所は30.5%、浴室は19.5%。

つまり、買主が「これがあったから決めた」と答えているのは、間取りと広さ。あなたが前の晩に磨いた浴室は、5番目です。

ここで誤解しないでほしいのは、「だから掃除は無駄」ではないこと。掃除は選ばれる理由ではなく、選ばれない理由を消す作業です。役割がまったく違います。

買主が決め手に挙げた項目 中古戸建 中古マンション
間取り・部屋数が適当 70.7% 72.3%
住宅の広さが十分 67.1% 69.3%
台所の設備・広さが十分 30.5% 29.7%
住宅のデザインが気に入った 32.9% 24.8%
浴室の設備・広さが十分 19.5% 23.8%
高齢者等への配慮がよい 9.8% 8.9%
高気密・高断熱 6.1% 4.0%

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内覧の30分、買主はどこに長くいるのか

拾い読みしている方へ。この章で分かるのは「準備のどこに時間をかけるべきか」です。

うちいくら編集部で、提携する仲介会社から提供を受けた内覧同行記録を集計しました(2024年1月〜2025年12月/首都圏の居住中の中古マンション・戸建1,180件/滞在時間は入室から退出までを同行者が記録/同一物件の複数回内覧は別件として計上)。

平均滞在時間は32分でした。そのうち、どこで時間を使っているか。

内覧32分のうち、買主が立ち止まっている場所 うちいくら集計(首都圏1,180件・2024年1月〜2025年12月) ■ リビング・ダイニング 約11分 ■ 水回り 約7分 ■ 各居室 約6分 ■ 収納を開ける 約4分 ■ バルコニー・庭 約3分 ■ 玄関・廊下 約1分 見落としがちなのは「収納を開ける4分」 押し入れ・クローゼット・シンク下は、ほぼ全員が開けます。詰め込むと逆効果です。

個人的に意外だったのは、収納です。滞在時間としては4分ですが、同行記録で「開けた」と記録された率は9割を超えていました。玄関収納、押し入れ、クローゼット、洗面台の下。ここは高い確率で開きます。

そして、先ほどの国交省データと重ねると意味が見えてきます。買主が決め手にしたのは「広さ」と「間取り」。収納を開けるのは、その広さが本当かを確かめているからです。

収納にモノを詰め込むと、「この家、収納が足りないんだな」と読まれます。これは価格に直結します。

売却経験者が集まるQ&Aサイトの投稿には、「2回家を売ったが、内見10回以内で売れました」「6組が内覧にきて、6組目で決まりました」という回答がありました。どちらも、特別な演出はせず、不要なものを減らしただけと書いています。


リフォームはすべきか。判断基準は3つだけ 💰

結論から言うと、売却前の大きなリフォームは、多くのケースで見送っていい。理由は同じ調査のなかにあります。

中古住宅を買った人に「なぜ中古にしたのか」を聞いた設問。1位は「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」で、戸建71.0%、マンション75.7%。2位が「新築住宅にこだわらなかったから」で34.6%・35.5%。

「リフォームされてきれいだったから」は、戸建27.6%、マンション31.2%で3位です。効かないわけではない。でも、1位の「予算的に手頃」とは40ポイント以上の差があります。

売却前リフォーム、やるか・やらないかの分かれ道 雨漏り・シロアリ・給排水の 不具合はありますか? ある ない 直すか、告知して価格に反映 隠すと契約不適合責任の話に なります。ここは飛ばせません 大きな工事は見送る クリーニング+部分補修で 十分な範囲がほとんど 迷ったら「その工事、価格にいくら上乗せできますか」と 仲介会社に金額で聞く 「印象が良くなります」としか返ってこないなら、 その工事は価格の根拠として見込まれていません。

判断基準を言葉にすると、こうなります。

  1. 不具合を直す工事(雨漏り、給排水、シロアリ)は、やる。売ったあとに責任を問われる部分だからです
  2. 見た目を良くする工事は、数万円〜十数万円で止める。クロスの部分張り替え、ハウスクリーニング、網戸の張り替えなど
  3. 設備を新品にする工事(キッチン交換、ユニットバス交換)は、原則やらない

3つ目に抵抗がある方へ。同じ国交省調査で、リフォーム工事をした世帯の工事費は平均154万円、中央値48万円でした。平均と中央値がここまで離れるのは、一部の大規模工事が平均を押し上げているからです。買主側の感覚としては、数十万円のリフォームが「ふつう」なんです。

そこへ売主が150万円かけたキッチンを載せても、買主は「自分で選びたかった」と思うかもしれない。しかも、売却前に売主が入れた設備は、買主の住宅ローンに含めやすい物件価格の一部になるだけで、値引き交渉の対象にもなります。

Q&Aサイトでは逆の意見も見つかりました。ベストアンサーに選ばれた回答は「表面リフォームやクリーニングを行うことで、売出価格を相場より300〜500万円高く付けられ、高く・早く決まる」としています。同じスレッドの他の回答は「最低限のハウスクリーニングは入れた方が良い」「中途半端なリフォームは避けるべき」。

意見が割れているのは事実です。ただ、両方に共通しているのは「クリーニングと軽微な補修まではやる」という線。フルリフォームを勧める声は、少なくともこのスレッドでは見当たりませんでした。


価格に効く準備と、効かない準備を仕分ける 📋

ここまでのデータを、明日からやることに翻訳します。

同じ1万円でも、置き場所で結果が変わる 効きやすい ・収納を6〜7割まで空ける ・水回りのカビ・水垢を落とす ・全部屋の電球を点け、カーテンを開ける ・においを抜く(換気・喫煙・ペット) ・管理費、修繕積立金、図面をそろえる ・破れたクロスだけ部分張り替え 効きにくい ・キッチン、ユニットバスの全交換 ・全室のクロス張り替え ・庭や外構の作り込み ・高額な家具レンタル ・床材の全面張り替え ※ 空室で生活感がゼロなら話は別

「効きやすい」側は、合計しても数万円です。ハウスクリーニングを業者に頼んでも、3LDKで数万円〜十数万円。

「効きにくい」側は、一桁上がります。ここが仕分けの意味です。

あと1つ、書類の話を。マンションなら管理費・修繕積立金の額、大規模修繕の実施履歴と今後の予定。戸建なら確認済証、検査済証、増改築の履歴。これを内覧当日に紙で出せる売主は、実は多くありません。

買主の75%前後は、今回が初めての住宅取得です(中古戸建75.4%、中古マンション75.1%)。初めての人ほど、不安を潰してくれる材料に反応します。書類は費用ゼロで用意できて、しかも効く。地味ですが、これは見落としがちなポイントです。


成約した家としなかった家、いちばん大きな違いは価格だった

準備の話をさんざんしておいて何ですが、データを並べると認めざるを得ないことがあります。

国交省調査で「住宅を選んだ理由」の1位は、中古戸建で「価格が適切だったから」61.4%、中古マンションで69.1%。そして「住宅選択にあたり妥協したもの」の1位も、戸建26.5%・マンション24.3%で「価格(予定より高くなった)」です。

一方、「浴室の設備・広さ」を妥協したと答えた人は、戸建でわずか6.6%。

買主が「ここは妥協した」と答えた項目(中古戸建) 国土交通省 令和6年度住宅市場動向調査より 価格(予定より高い) 26.5% 交通の利便性 23.2% 間取り・部屋数 19.1% 住宅の広さ 16.5% 台所の設備・広さ 9.6% 浴室の設備・広さ 6.6%

読み方を変えると、こうです。買主は価格で妥協して買っている。設備では妥協していない(そもそも設備を重視していないから)。

内覧を10組受けても決まらない家は、掃除が足りないのではなく、その価格でその立地・広さ・間取りだと選ばれていない可能性のほうが高い。つらい話ですが、ここを直視しないと、準備のほうばかり増えて時間が過ぎます。

うちいくら集計(前掲1,180件)では、内覧6組目までに買付が入らなかった物件のうち、その後に成約したものの約7割で、売出価格の見直しが入っていました。

内覧が5組を超えたら、準備を足すより価格を点検する。これが順番だと思います。


査定額は、売却価格ではありません

ここは繰り返し書きます。査定額は、不動産会社が「これくらいで売れるでしょう」と見立てた金額です。その金額で売れることを約束するものではありません。

査定額から成約価格までに、いくつも段差がある 査定額 会社の見立て 売出価格 売主が決める 内覧・交渉 ここで動く 成約価格 実際に売れた額 高い査定額を出した会社が、高く売ってくれるとは限りません 媒介契約(売却を任せる契約)をとるために、高めの数字を出す会社もあります。 大事なのは金額より、「なぜその金額か」を成約事例で説明できるかどうかです。

査定を複数社に依頼するとき、知っておいてほしい商慣行が2つあります。

両手仲介。仲介会社が売主と買主の両方から手数料を受け取る形です。1件で手数料が2倍になるため、他社が連れてきた買主より、自社で見つけた買主を優先したくなる構造があります。

囲い込み。他社から「内覧させてほしい」と連絡が来ても「商談中です」と断り、自社で買主を見つけるまで待つやり方です。売主から見ると、内覧の数が不自然に少ないという形で現れます。

内覧が極端に来ないとき、「販売状況の報告書を見せてください」「他社からの問い合わせは何件ありましたか」と聞いてみてください。専任媒介・専属専任媒介なら、仲介会社には定期的な報告義務があります。

そして一括査定について。複数社に同時に依頼すると、申し込み直後から営業電話がかかってきます。1社ではなく、依頼した社数ぶん来ます。日中に出られない方は、申込フォームの備考欄に「連絡はメールのみ希望」「電話は平日19時以降のみ」と書いておく。それでも電話が来る会社はあります。警戒するのは、まっとうな感覚です。

まだ売ると決めていない段階なら、一括査定に出す前に、自分で相場を見るほうが落ち着いて進められます。


まず自分で相場を見るなら、国交省のサイトが無料です 🗾

不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営しているサイトです。不動産の取引価格情報や成約価格情報、地価公示、都市計画情報、防災情報を地図の上で見られます。会員登録は不要で、無料です。

国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報ページ
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報ページ(reinfolib.mlit.go.jp・2026-09-28時点の画面)

使い方はシンプルです。

手順 やること
1 「データの検索・ダウンロード」を開く
2 都道府県・市区町村・地区名を入力
3 種類(中古マンション等/宅地)と時期を選ぶ
4 一覧で、面積・築年数・最寄駅からの距離・取引価格を見る

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見るときのコツは、自分の家に条件を寄せること。70㎡・築20年のマンションなら、同じ駅・面積帯60〜80㎡・築15〜25年の取引だけを抜き出して並べます。10件も並べば、だいたいの幅が見えてきます。

注意点も1つ。取引価格情報は、実際の取引当事者へのアンケートをもとにした情報で、個別事情(急ぎで売った、リフォーム済みだった等)は分かりません。あくまで幅を掴むための道具です。

査定を頼む前に、30分でできる相場の見方 1 最寄駅・町名で エリアを絞る 2 面積±10㎡、 築年数±5年で揃える 3 10件ほど並べて 上と下を切る 4 真ん中あたりが あなたの出発点 この幅から大きく離れた査定額が出たら、その根拠を必ず言葉で聞いてください。


よくある質問

Q1. 内覧のとき、売主は家にいたほうがいいですか?

居住中なら、いるのが普通です。ただし、全部屋をついて回ると買主が話しにくくなります。玄関でひととおり説明したら、リビングの隅か別室で待つ。買主が仲介会社の担当者と自由に話せる時間をつくったほうが、率直な感想が返ってきます。その感想は担当者経由であなたに届きます。

Q2. ハウスクリーニングは入れるべきですか?

売主に義務はありません。判断の目安は「自分で落としきれない汚れがあるか」。浴室の鏡のウロコ、キッチンの換気扇の油、トイレの黄ばみは、市販品では限界があります。ここだけ部分的に頼む手もあります。内覧で買主が7分立ち止まるのが水回りなので、費用対効果は悪くありません。

Q3. 建物状況調査(インスペクション)はやったほうがいいですか?

建物状況調査は、建築士などの有資格者が構造や雨漏りの状況を目視等で確認するものです。2018年4月の法改正で、仲介会社は媒介契約時に調査実施者のあっせんについて書面で説明することになりました。2024年4月からは、共同住宅等(RC造等)で重要事項説明の対象となるのは、調査から2年を経過していない結果とされています。築年数が古い戸建で、買主の不安を先回りして消したいなら検討する価値があります。ただし、この調査は瑕疵の有無を判定するものではない、という限界も国交省の資料に明記されています。費用や必要性は物件によって違うので、媒介契約を結ぶ前に仲介会社へ確認してください。


この記事のまとめ

  • 中古住宅を買った人が決め手に挙げたのは、間取り(約7割)と広さ(約7割)。浴室の設備は2割前後にとどまる
  • 内覧の滞在はリビングと水回りに集中し、収納はほぼ全員が開ける。詰め込みは逆効果
  • 売却前の大きなリフォームは原則不要。直すべきは雨漏り・給排水・シロアリなどの不具合
  • 買主が最も妥協しているのは価格。内覧が5組を超えて決まらないなら、準備より価格を点検する
  • 査定額は売却価格ではない。金額より「その根拠を成約事例で説明できるか」を見る

次の一歩: 不動産情報ライブラリで、自分の家と条件の近い取引を10件、紙に書き出してみてください。査定を頼むかどうかは、そのあとで決められます。