うちいくら?国の成約データで、うちの値段がわかる
  1. うちいくら?
  2. 相場の調べ方
  3. マンション相場を自分で調べる方法|レインズと不動産情報ライブラリの使い方

マンション相場を自分で調べる方法|レインズと不動産情報ライブラリの使い方

不動産会社に連絡せず、無料の公的サイトだけでマンション相場を出す手順を画面の流れに沿って解説。成約価格と売出価格の違い、どちらを見るべきか、拾った事例から自宅の目安を計算する方法まで。営業電話を避けたい人向けです。

マンション相場を自分で調べる方法|レインズと不動産情報ライブラリの使い方

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「うちのマンション、いくらで売れるんだろう」

そう思って検索すると、真っ先に出てくるのは一括査定サイトです。フォームを開くと、名前と電話番号を入れる欄がある。そこで手が止まる。分かります。まだ相談したいわけじゃない。ただ、数字が知りたいだけなんですよね。

結論から言うと、不動産会社に連絡しなくても、相場はだいたい出せます。

  1. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、自分の街の取引価格を見る
  2. 「レインズ・マーケット・インフォメーション」で、実際に成約した価格を見る
  3. 拾った事例の㎡単価に、自宅の専有面積を掛ける

これだけです。どちらも無料、登録不要、電話番号も要りません。所要時間は30分ほど。以下、画面の流れに沿って説明します。


選び方の基準

この記事では、数あるサイトのなかから2つを取り上げ、使う順番も含めて「まずこれ」と書いています。何を見てそう判断したのかを先に開示します。ここに納得できなければ、以下の手順も読み飛ばして構いません。

取り上げるサイトは、次の5つの条件をすべて満たすものに限りました。

基準 具体的に見たこと なぜこの基準か
① 費用がかからない 閲覧・ダウンロードが無料か 相場を知る段階でお金をかける必要がない
② 連絡先の入力が不要 会員登録・電話番号・メールアドレスの入力欄があるか 営業連絡を避けたい読者にとって、ここが最大の分かれ目
③ 出どころが公的 運営が省庁・指定流通機構か。データの集め方が公表されているか 集計方法が分からない数字は、確かめようがない
④ 成約価格が分かる 売出価格ではなく、実際に合意した金額が載っているか 相場の実勢に近いのは成約価格のほう
⑤ 条件で絞り込める 面積・築年・駅などで自宅に近い事例を取り出せるか 街の平均ではなく、自分の部屋の目安が要る

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この基準で残ったのが、国土交通省の不動産情報ライブラリと、指定流通機構が運営するレインズ・マーケット・インフォメーションの2つです。片方だけでは④と⑤を両方満たせないため、両方を使う前提で手順を組んでいます。

順番については、①街の水準をつかむ → ②自宅の条件で絞る → ③計算する、という流れが手戻りが少ないため、この順で並べました。逆から始めると、絞り込んだ結果が高いのか安いのか判断できません。

なお、この記事では不動産会社や一括査定サービスの順位付けはしていません。掲載にあたって報酬を受け取っている事業者もありません。以降で「おすすめ」と書いている箇所は、すべてこの5つの基準にもとづく判断です。


この記事の目次
  1. まず全体像:2つのサイトは役割が違います 📊
  2. 成約価格と売出価格、どっちを見るべきか 💰
  3. 手順①:不動産情報ライブラリで街の水準を見る 📋
  4. 1. サイトを開く
  5. 2. 地域を指定する
  6. ここで失敗しやすい
  7. 3. 価格情報区分を選ぶ
  8. 4. 種類と時期を選ぶ
  9. 5. 結果を見る
  10. 手順②:レインズ・マーケット・インフォメーションで条件を絞る
  11. 1. マンションか戸建かを選ぶ
  12. 2. 都道府県と地域を選ぶ
  13. 3. 絞り込み条件を入れる
  14. ここで失敗しやすい
  15. 4. 結果の読み方
  16. 手順③:拾った事例から、自分の家の目安を出す
  17. 計算は3行です
  18. なぜ平均ではなく中央値なのか
  19. 具体例で見てみます
  20. 参考:うちいくらの集計による区別の㎡単価
  21. 築年数による下がり方
  22. うまくいかないときの分岐
  23. なぜ会社によって査定額が1,000万円も違うのか 🏠
  24. 媒介契約を取りたい、という事情
  25. 両手仲介と囲い込み
  26. 営業電話が怖い人へ、実際に使える話
  27. 一次情報:このデータは、どこから来ているのか
  28. 取引価格情報は「買った人へのアンケート」
  29. 成約価格情報は「レインズを通った取引」
  30. 相場の「動き」を見たいなら不動産価格指数
  31. Q1. 自分のマンションの過去の成約価格を、部屋番号レベルで知ることはできますか
  32. Q2. 出た数字を持って不動産会社に行けば、その価格で売れますか
  33. Q3. 取引価格情報と成約価格情報で数字が違います。どちらが正しいですか
  34. Q4. 売却したら税金はどうなりますか
  35. Q5. 結局、査定は受けたほうがいいですか
  36. この記事のまとめ

まず全体像:2つのサイトは役割が違います 📊

この章を読むと、「どっちのサイトで何が分かるのか」が整理できます。似た名前で混同しやすいところなので、最初に片付けます。

不動産情報ライブラリ レインズ・マーケット・インフォメーション 運営:国土交通省 運営:指定流通機構(レインズ) ・地図の上に取引価格を表示 ・土地/戸建/マンション全部 ・防災・都市計画も重ねられる ・CSVでまとめて落とせる 向いている場面 街全体の水準をつかむ ・実際に成約した価格 ・マンションと戸建のみ ・間取り・築年で絞り込める ・沿線/駅からも探せる 向いている場面 自宅に近い条件を絞り込む

ざっくり言うと、ライブラリは「地図」、レインズは「絞り込み」です。

不動産情報ライブラリは、国土交通省が2024年4月1日から運用しているサイトです。それ以前は「土地総合情報システム」という名前で、そちらは2024年3月末で役目を終えました。今も「土地総合情報システム」で検索して古いブックマークを踏む人がいますが、現在の入口は reinfolib.mlit.go.jp です。

一方のレインズ・マーケット・インフォメーション(以下、RMI)は、不動産会社が使う業者間システム「レインズ」の情報から、個人が特定できない形に加工して一般公開しているサイトです。国土交通省の発表によれば、試行運用の開始は2005年11月28日。2012年3月にリニューアルされ、戸建にも「最寄り駅」「用途地域」「成約時期」が加わり、都道府県単位での検索ができるようになりました。20年以上動いている、地味に息の長いサイトです。

不動産情報ライブラリ レインズ・マーケット・インフォメーション
運営 国土交通省 指定流通機構(レインズ)
費用 無料 無料
会員登録 不要 不要
電話番号の入力 不要 不要
扱う物件 土地・戸建・マンション・農地・林地 マンション・戸建
価格の性質 アンケート回答による取引価格/成約価格 成約価格
地図表示 あり なし
CSVダウンロード あり なし

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※2026-09-08時点。

ちなみに、不動産情報ライブラリの中にも「成約価格情報」というメニューがあります。これはRMIで公表されているのと同じ、レインズ由来のデータです。国土交通省の運用開始の発表資料に、レインズ保有の情報を個別取引が特定できないよう加工したもの、と明記されています。つまりライブラリ側でも成約価格は見られる。ただし地図表示は直近5年分など制約があるので、条件を細かく絞りたいときはRMIのほうが早いです。


成約価格と売出価格、どっちを見るべきか 💰

この章を読むと、なぜポータルサイトの価格を見ても相場が分からないのかが分かります。ここが今日いちばん大事なところです。

家の値段には、少なくとも4つの顔があります。

同じ家に、4つの「価格」がある ① 査定額 不動産会社が「これくらいで売れそう」と見込んだ数字。約束ではない ② 売出価格 ポータルサイトに載っている値札。売主の希望が入っている ③ 成約価格 ← 相場を知るならここ 買主と売主が実際に合意した金額。RMI・成約価格情報で見られる ④ 取引価格情報 登記後のアンケート回答。件数が多く、土地や郊外にも強い

ポータルサイトに並んでいるのは②の売出価格です。あれは「この値段で買いませんか」という提示であって、その値段で売れた証拠ではありません。3か月売れずに値下げされた物件も、同じ顔をして並んでいます。

相場を知りたいなら、③の成約価格を見てください。 実際にお金が動いた金額だからです。これは前章の選定基準④にあたります。

どのくらい差が出るのか。うちいくらの集計では、成約価格は当初の売出価格の中央値で94.8%でした。つまり最初の値札から5%前後は下がって着地している、ということです。5,000万円で出した部屋なら、4,740万円あたりが真ん中。この差を知らずにポータルの数字だけ見ていると、頭の中の相場が5%高いままになります。

<うちいくらの集計方法>
レインズ・マーケット・インフォメーションで2025年10月〜2026年3月に公表された首都圏の中古マンション成約事例のうち、当初売出価格が確認できた1,842件を対象に、成約価格÷当初売出価格の比率を算出し中央値を取りました。値下げなしで成約した事例も分母に含んでいます。

迷ったら、まずここで相場を見る

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では④の取引価格情報は何に使うのか。件数の多さが武器です。国土交通省によれば、この制度は2006年4月から不動産取引の当事者へのアンケート調査で情報を積み上げていて、2025年3月31日時点で約547万件。内訳は宅地(土地)が約187万件、宅地(土地と建物)が約200万件、中古マンション等が約89万件、農地が約47万件、林地が約24万件です。

RMIは成約価格ですが、レインズを通った取引しか入りません。取引価格情報のほうは、業者を通さない取引もアンケートの対象になります。郊外や地方、土地の相場を見るなら、こちらのほうが事例が拾えることが多いです。

使い分けは、こう考えてください。目的ごとに、選定基準の④(成約価格が分かる)と⑤(絞り込める)のどちらを優先するかで変わります。

  • マンションの相場を知りたい → まず成約価格(RMI/成約価格情報)
  • 土地や地方の戸建 → 取引価格情報
  • 街全体の水準をつかみたい → 不動産情報ライブラリの地図
  • 自分の物件に近い条件で絞りたい → RMI

手順①:不動産情報ライブラリで街の水準を見る 📋

ここからは実際の画面の流れです。パソコンでもスマホでも動きます。特別なソフトは要りません。

1. 地域 住所 または 沿線・駅で指定 2. 価格情報区分 取引価格情報/ 成約価格情報 3. 種類 中古マンション等 を選ぶ 4. 時期 直近2年に 絞るのがコツ 条件を入れたら検索。一覧・散布図・地図・CSVダウンロードが選べます

1. サイトを開く

https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ にアクセスします。トップには「地図検索」「地域検索」「不動産価格情報」「地価公示情報」といった入口が並んでいます。

相場を数字で拾いたいなら、「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」を選びます。地図から入ってもいいのですが、地図表示は直近5年分という制約があるので、最初は検索画面のほうが扱いやすいです。

2. 地域を指定する

住所から選ぶか、沿線・駅名から選ぶかを決めます。マンションの場合、駅から選ぶほうが実感に近いことが多いです。相場は行政区より駅勢圏で動くからです。同じ区でも、急行停車駅とその隣では単価が違います。

ここで失敗しやすい

町名まで絞り込みすぎると、事例が3件しか出てこない、ということが起きます。3件の平均は相場ではありません。まず市区町村や駅の単位で広めに取って、件数を確保してください。 絞るのは後です。

3. 価格情報区分を選ぶ

「不動産取引価格情報」か「成約価格情報」かを選びます。マンションの相場を知りたいなら、まず成約価格情報を選んでみてください。

ただし注意点がひとつ。公式マニュアルによれば、成約価格情報で検索できるのは「土地と建物」と「中古マンション等」だけです。土地の成約価格はここでは出てきません。土地を調べたい人は取引価格情報のほうに切り替えます。

4. 種類と時期を選ぶ

種類は「土地」「土地と建物」「宅地」「中古マンション等」「農地」「林地」から選べます。分譲マンションなら「中古マンション等」です。

時期は、直近2年程度に絞るところから始めてみてください。古い事例まで混ぜると、価格が動いた分だけ中央値がぼやけます。ただし件数が10件を切るようなら、期間を戻して広げてください。

5. 結果を見る

検索すると、一覧が出ます。所在地、最寄駅、面積、価格、建築年といった項目が並びます。ここから散布図や詳細画面に飛べますし、CSVでまとめてダウンロードもできます。

Excelに落とすなら、CSVが圧倒的に速いです。 画面で一件ずつ眺めるより、表計算ソフトで㎡単価の列を作ってしまったほうが早い。ここは後で説明します。


手順②:レインズ・マーケット・インフォメーションで条件を絞る

この章を読むと、自宅に近い条件の成約事例だけを取り出す方法が分かります。選定基準⑤にあたる部分です。

RMIは http://www.contract.reins.or.jp/ です。国土交通省の報道発表資料にもこのURLが載っています。会員登録もログインも要りません。

1. マンションか戸建かを選ぶ

トップで「マンション」か「戸建」を選びます。分譲マンションなら左です。

2. 都道府県と地域を選ぶ

都道府県を選び、そこから市区町村や沿線・駅を指定します。2012年のリニューアルで都道府県単位の検索ができるようになった、と国土交通省が発表しています。

3. 絞り込み条件を入れる

ここがRMIの強みです。以下のような条件で絞れます。

  • 専有面積
  • 間取り
  • 築年数
  • 最寄駅からの徒歩分数
  • 成約時期

自宅が「70㎡・3LDK・築22年・駅徒歩8分」なら、面積60〜80㎡、築20〜25年、徒歩10分以内、といった具合に幅を持たせて指定します。

ここで失敗しやすい

条件を自宅にぴったり合わせると、事例がゼロになります。面積は±10㎡、築年数は±5年、徒歩分数は「10分以内」くらいの幅を持たせてください。1件も出ないより、10件のばらつきを見るほうが役に立ちます。

4. 結果の読み方

一覧には、成約価格、専有面積、間取り、築年数、最寄駅、成約時期などが出ます。ここで見るべきは総額ではなく㎡単価です。

なぜか。面積が違う部屋を総額で比べても意味がないからです。65㎡が5,000万円、80㎡が5,600万円。総額だと後者が高いですが、㎡単価は前者が76.9万円、後者が70.0万円。単価では前者のほうが高い。この視点がないと相場を読み違えます。


手順③:拾った事例から、自分の家の目安を出す

この章を読むと、集めた事例を1つの数字に落とす計算ができます。電卓かスプレッドシートを開いてください。

計算は3行です

  1. 拾った事例それぞれについて、成約価格 ÷ 専有面積 = ㎡単価を出す
  2. その㎡単価を並べて、真ん中の値(中央値)を取る
  3. 中央値 × 自宅の専有面積

これで目安が出ます。

なぜ平均ではなく中央値なのか

平均は、極端な1件に引きずられるからです。10件のうち1件だけリノベーション済みの高額成約が混ざっていると、平均は上に持っていかれます。中央値なら、その1件は「いちばん上の1つ」として並ぶだけで、真ん中の位置はほとんど動きません。

Excelなら =MEDIAN(範囲) です。事例が偶数件なら真ん中2つの平均が返ります。

具体例で見てみます

70㎡・築22年・駅徒歩8分のマンションを想定します。RMIで似た条件の成約が12件拾えて、㎡単価の中央値が92万円だったとします。

92万円 × 70㎡ = 6,440万円

これが出発点の目安です。ここから自宅の事情で調整します。

調整要素 方向 目安
最上階・角部屋 上 +3〜7%
1階・北向き 下 −3〜8%
眺望が抜けている 上 +2〜5%
水回りをフルリフォーム済み 上 工事費の一部が乗る程度
前面に建物が建った 下 事例次第
管理費・修繕積立金が周辺より高い 下 月額の差×12×十数年分が意識される
旧耐震(1981年5月以前の建築確認) 下 住宅ローンの条件に影響することがある

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この調整幅は、うちいくらが同一マンション内の複数成約事例を突き合わせて算出した目安です。数字そのものより、上下どちらに動く要素なのかを把握することが目的だと考えてください。

<うちいくらの集計方法>
2024年4月〜2026年3月に成約事例が2件以上確認できた首都圏の分譲マンション636棟について、同一棟内の㎡単価の差を階数・向き・角住戸かどうかで整理し、中央値ベースで幅を示しました。リフォーム歴は公開情報から判別できる範囲に限っています。

参考:うちいくらの集計による区別の㎡単価

自分の街の数字がすぐ欲しい人向けに、集計値を載せます。単価の高い順に並べたもので、良し悪しの順位ではありません。

エリア 中古マンション成約㎡単価の中央値 70㎡換算 事例数
東京都港区 218万円 約15,260万円 131件
東京都世田谷区 118万円 約8,260万円 412件
東京都杉並区 112万円 約7,840万円 286件
東京都練馬区 88万円 約6,160万円 254件
東京都江戸川区 79万円 約5,530万円 198件

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<うちいくらの集計方法>
レインズ・マーケット・インフォメーションで2025年10月〜2026年3月に公表された成約事例のうち、専有面積60〜80㎡・最寄駅徒歩10分以内のものを抽出し、区ごとに㎡単価の中央値を算出しました。築年数は限定していません。事例数が100件に満たない区は掲載していません。

この表は出発点であって、あなたの部屋の値段ではありません。 同じ世田谷区でも、駅と築年で単価は倍近く違います。必ず自分の駅・自分の築年帯で絞り直してください。

築年数による下がり方

同じ区の中でも、築年で単価は変わります。

築年数 築0〜5年を100としたときの㎡単価
築0〜5年 100
築6〜10年 94
築11〜15年 87
築16〜20年 80
築21〜25年 71
築26〜30年 63
築31年以上 55

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<うちいくらの集計方法>
上記と同じ抽出条件のうち首都圏5,204件について、築年帯別に㎡単価の中央値を出し、築0〜5年を100として指数化しました。築31年以上は建物の状態や管理状況によるばらつきが大きく、指数の意味は他の帯より弱くなります。

築30年を超えると、指数の意味は薄れます。同じ築35年でも、大規模修繕をきちんと重ねてきたマンションと、修繕積立金が不足している物件では、買主の評価がまったく違うからです。築古こそ、指数ではなく実際の事例を見てください。


うまくいかないときの分岐

拾い読みしている人向けに、症状別にまとめます。

症状 たぶんこれが原因 対処
検索しても事例が0〜2件 地域を絞りすぎ/期間が短すぎ 町名→市区町村へ、1年→3年へ広げる
単価がバラバラで真ん中が分からない 築年の幅が広すぎる 築年を±5年に絞り直す。それでも散るなら中央値を採る
成約価格情報で土地が出てこない 成約価格情報は「土地と建物」と「中古マンション等」のみ 取引価格情報に切り替える
価格の下2桁がキリよすぎる 取引価格情報は有効数字2桁に加工されている 1件ずつではなく複数件の中央値で見る
面積が「◯㎡以上」になっている 大きい物件は特定を防ぐため丸められる その事例は単価計算から外す
自分のマンションが出てこない 個別物件が特定できないよう加工されている 物件名では探せない。条件で近い事例を集める
ポータルの価格と全然違う ポータルは売出価格、こちらは成約価格 成約価格のほうが実勢に近い
古いブックマークが開かない 土地総合情報システムは2024年3月末で終了 reinfolib.mlit.go.jp へ

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「自分のマンションが出てこない」は、けっこう問い合わせの多い症状です。これは仕様です。国土交通省の発表資料にあるとおり、個別の不動産取引を特定できないよう加工したうえで公表されています。棟名で検索する機能は、そもそもありません。

同じ理由で、価格は有効数字2桁に丸められています。5,432万円は「5,400万円」になる。1件を精密に読む使い方には向いていません。複数件を集めて真ん中を取る、という使い方が前提のデータです。


なぜ会社によって査定額が1,000万円も違うのか 🏠

この章を読むと、自分で相場を出しておく意味が分かります。ここは売主が不利になりやすいところなので、はっきり書きます。

査定額は、不動産会社が「これくらいで売れそうです」と見込んだ数字です。査定額と実際の売却価格は別のものです。 保証でも約束でもありません。

そして、査定額には売る側の事情が混ざります。

媒介契約を取りたい、という事情

媒介契約(不動産会社に売却を任せる契約、という意味です)を結んでもらわないと、会社は報酬を得られません。複数社に声をかけた売主は、たいてい高い数字を出した会社に惹かれます。すると、高めの数字を出したほうが契約を取りやすい、という構図ができます。

高い値段で売り出して売れなければ、数か月後に「相場が動きましたので」と値下げの相談が来る。売主から見ると、最初の数字は何だったのか、という話になります。

この構図に巻き込まれないための道具が、自分で出した相場です。 手元に「この駅・この築年で㎡単価92万円」という数字があれば、6,400万円の査定は納得できるし、8,000万円の査定には理由を聞けます。理由が説明できる会社なら信頼できるし、説明が曖昧なら距離を置ける。判断の材料が増えます。

両手仲介と囲い込み

もうひとつ、業界の構造の話です。

不動産会社は、売主から依頼を受けて買主も自社で見つけると、両方から報酬を受け取れます。これを両手仲介と呼びます。片方だけなら報酬は半分です。

ここに、売主の利益とずれる誘因が生まれます。他社が買主を連れてきたら、報酬は半分になる。だから他社からの問い合わせに「商談中です」と答えて情報を止める。これが囲い込みと呼ばれる行為です。売主にとっては、買主候補が減るということです。

対策も進んでいます。国土交通省の消費者向けページによれば、専任媒介契約などを結ぶとレインズへの登録が行われ、売主は登録証明書に記載されたURL・ID・パスワードで「売主専用画面」にアクセスし、自分の物件の取引状況を確認できます。同ページでは、2025年1月からスマートフォンで読み取れる二次元コードを登録証明書に掲載する予定である旨も案内されています。

覚えておいてほしいのは1点だけです。

媒介契約を結んだら、登録証明書を受け取って、売主専用画面を一度は開いてください。 自分の物件がどう掲載されているか、取引状況がどうなっているかを、自分の目で見る。これは売主の権利です。


営業電話が怖い人へ、実際に使える話

この章を読むと、査定を頼む段階になったときの連絡方法の絞り方が分かります。選定基準②で「連絡先の入力が不要か」を最優先にしたのは、この負担があるからです。

まず、はっきり書きます。一括査定サイトに電話番号を入れると、電話は来ます。 複数社に情報が渡る仕組みなので、来る数も会社数に比例します。仕事中に着信が並ぶ、というのは誇張ではありません。この負担を承知したうえで使うかどうかを決めてください。

だから、この記事の手順で相場を出す段階では、まだどこにも連絡しなくていいのです。無料の公的データだけで、判断の土台は作れます。

そのうえで、実際に売ると決めて査定を頼む段になったら、こういう手が使えます。

  • 申込フォームの備考欄に「連絡はメールのみ希望」と書く。 効かない会社もありますが、書いてあるだけで電話の本数は変わります
  • 携帯ではなく、専用のメールアドレスを用意する。 フリーメールで十分です
  • 訪問査定ではなく、まず机上査定(簡易査定)で、と明記する。 家に上がられる前に数字だけもらえます
  • 依頼するのは3社まで。 5社に頼めば5社から連絡が来ます

そして、法律の話をひとつ。宅地建物取引業法施行規則では、悪質な勧誘行為が明文で禁止されています。国土交通省のページによれば、2011年8月31日公布・同年10月1日施行の改正で、次の3つが禁止事項として明記されました。

  1. 勧誘に先立って、会社名・勧誘する者の氏名・勧誘目的である旨を告げずに勧誘すること
  2. 契約を締結しない旨の意思を表示した相手に、勧誘を継続すること
  3. 迷惑を覚えさせるような時間の電話勧誘・訪問勧誘

「結構です」とはっきり伝えた後に、なお電話が続くなら、それは規則で禁じられている行為です。 遠慮なく断って構いません。断りづらさは、あなたの性格の問題ではありません。


一次情報:このデータは、どこから来ているのか

この章を読むと、なぜこの2つのサイトを選んだのか(選定基準③)の裏付けが分かります。数字の出どころは、知っておいて損がありません。

取引価格情報は「買った人へのアンケート」

国土交通省の不動産取引価格情報提供制度のページによれば、この情報は2006年4月から、不動産取引の当事者へのアンケート調査をもとに蓄積されています。

流れはこうです。土地や建物を買って所有権移転登記をすると、おおむね3か月後に国土交通省から協力依頼と返信用封筒が届く。購入者が取引価格や契約日、購入目的などを記入して返送する。これが集計され、個別の取引が特定できない形に加工されて公表されます。

蓄積件数は2025年3月31日時点で約547万件。内訳は宅地(土地)が約187万件、宅地(土地と建物)が約200万件、中古マンション等が約89万件、農地が約47万件、林地が約24万件です。

つまり、このデータは回答してくれた人の善意で成り立っているということでもあります。全取引が入っているわけではありません。そこは頭の隅に置いておいてください。

なお、この情報を提供していた「土地総合情報システム」は2024年3月末で廃止され、同年4月から不動産情報ライブラリに移行しています。

成約価格情報は「レインズを通った取引」

一方の成約価格情報は、指定流通機構(レインズ)が保有する取引情報が元です。国土交通省の運用開始の発表資料に、レインズ保有の情報を個別の不動産取引が特定できないよう加工し、消費者向けサービスであるレインズ・マーケット・インフォメーションで公表している情報である、と記されています。

こちらは不動産会社が実際に成約報告した価格です。アンケートの回収率に左右されない代わりに、レインズを通らない取引は入りません。

相場の「動き」を見たいなら不動産価格指数

個別の事例ではなく、全体がどう動いてきたかを見たいときは、国土交通省の不動産価格指数があります。2010年平均を100とした指数で、約30万件の不動産取引価格情報をもとに毎月公表されるものです。全国、ブロック別、都市圏別に住宅と商業用不動産の動きが追えます。

ただし2026-09-08時点で、公表状況に変更があります。国土交通省のページによれば、2026年8月27日付で算出プログラムの不具合により公表を延期する旨が告知されており、新しい公表日は未定とされています。確定して公表されている最新は、2026年3月31日公表の2025年12月・第4四半期分です。

指数を見るときは、必ず国土交通省のページで最新の公表状況をご確認ください。

そして、これは繰り返し書いておきます。過去の推移がこうだったからといって、この先どうなるかは分かりません。 指数は過去を映す鏡であって、未来の予告ではありません。「上がってきたから今後も上がる」という読み方はしないでください。


よくある質問

Q1. 自分のマンションの過去の成約価格を、部屋番号レベルで知ることはできますか

できません。どちらのサイトも、個別の不動産取引が特定できないよう加工したうえで公表されています。棟名や住戸を指定して検索する機能はありません。

代わりにできるのは、同じ駅・同じ築年帯・同じ面積帯の成約事例を集めて、その中央値を見ることです。この記事の手順③がそれです。

Q2. 出た数字を持って不動産会社に行けば、その価格で売れますか

いいえ。ここで出るのは相場の目安です。査定額も、売れる価格ではありません。

実際の売却価格は、買主が現れるかどうか、そのタイミング、部屋の状態、内覧時の印象、住宅ローン審査の通り方など、たくさんの要素で決まります。目安は交渉の材料であって、着地点の保証ではありません。

Q3. 取引価格情報と成約価格情報で数字が違います。どちらが正しいですか

どちらも正しいデータです。集め方が違うだけです。

取引価格情報は登記後のアンケート回答で、業者を通さない取引も含みます。成約価格情報はレインズを通った取引です。母集団が違えば、中央値も違って当然です。

食い違いが大きいときは、両方の件数を見てください。件数が多いほうを主に、少ないほうを参考に、という読み方が現実的です。

Q4. 売却したら税金はどうなりますか

譲渡所得の課税や各種の特例など、制度としての枠組みはあります。ただし適用の可否は、所有期間、居住していたかどうか、取得費の資料が残っているか、といった個別の事情で変わります。

この記事では個別の判断はしません。 金額が大きくなる話なので、具体的な適否は税理士に、登記まわりは司法書士にご相談ください。相場を調べる段階では、まだそこまで踏み込まなくて問題ありません。

Q5. 結局、査定は受けたほうがいいですか

売ると決めたなら、受けたほうが情報は増えます。公的データでは分からない、部屋そのものの評価や、直近の買主の動きが聞けるからです。

ただし順番として、先に自分で相場を出しておくほうが判断しやすくなります。数字を持たずに査定を受けると、提示された金額が高いのか安いのか、判断のしようがありません。自分の数字があれば、会社の説明を評価できます。

まだ売ると決めていないなら、この記事の手順だけで止めておくのも、ひとつの選択です。


この記事のまとめ

  • 相場を知るだけなら、不動産会社への連絡は不要。 不動産情報ライブラリとレインズ・マーケット・インフォメーションは、どちらも無料・登録不要・電話番号不要。この記事はその5条件(費用・連絡先不要・公的な出どころ・成約価格・絞り込み)でサイトを選んでいます
  • 見るべきは成約価格。 ポータルサイトの売出価格は値札であって、成約した金額ではない。うちいくらの集計では、成約価格は当初売出価格の中央値で94.8%
  • 計算は「㎡単価の中央値 × 自宅の専有面積」。 平均ではなく中央値を使う。事例が少ないときは地域と期間を広げる
  • 査定額は売却価格ではない。 媒介契約を取るための数字が混じることがある。自分の相場を持っていれば、その説明を評価できる
  • 一括査定に番号を入れれば連絡は来る。 使うなら3社まで、メール希望を明記、机上査定から

次にやることを1つだけ挙げるなら、今夜30分、不動産情報ライブラリを開いて、自分の最寄り駅の中古マンション成約事例をCSVでダウンロードしてみてください。 ㎡単価の列を作って中央値を取る。それだけで、明日から不動産会社の話の聞こえ方が変わります。

※本記事に記載した各サイトの仕様・公表状況は2026-09-08時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。