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築何年で売ると損しない?築年数別の㎡単価を82エリアで集計

うちいくらが国交省の取引価格情報をもとに82エリアの中古マンション・戸建を築年帯別に集計しました。㎡単価が急に落ちる帯とほぼ止まる帯があります。集計方法と、自分の家に当てはめる手順まで解説します。

築何年で売ると損しない?築年数別の㎡単価を82エリアで集計

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「うちはもう築20年だし、売るなら早いほうがいいのかな」。

そう思ってこのページを開いた人が多いと思います。ネットを見ると「築10年が分かれ目」「築20年で価値ゼロ」と、言っていることがバラバラですよね。

そこで、うちいくらで国土交通省の取引価格情報を集計しました。82エリアの中古マンションと中古戸建を、築年5年きざみで並べています。

結論から言うと、下落は一定のペースでは進みません。急に落ちる帯と、ほとんど止まる帯があります。

この記事の目次
  1. 結論を3行で 📊
  2. この記事が当てはまる人・当てはまらない人
  3. うちいくらの集計方法(ここを読まずに数字だけ持ち帰らないでください)
  4. 中古マンションは、築16〜20年に入るところで一番落ちる 💰
  5. 自分の家だとどうなるか
  6. なぜ築16〜20年で急に落ちるのか
  7. 中古戸建は、築26年を過ぎると下がらなくなる 🏠
  8. ここが「築20年で価値ゼロ」の正体
  9. 自分の家だとどうなるか
  10. 82エリアの内訳を見ると、全国一律ではない 🗾
  11. 手順:自分の家がどの帯にいるか、30分で確かめる 📋
  12. 手順1:建築年月を確定する
  13. 手順2:不動産情報ライブラリで、同じ帯の取引を引く
  14. 手順3:㎡単価 × 自分の面積で、レンジを作る
  15. 手順4:次の帯に入るまで、あと何年か数える
  16. 手順5:築年数より強い「期限」がないか確認する
  17. 手順6:それから、はじめて査定を取る
  18. うまくいかないときの分岐
  19. 症状1:自分の市区で、同じ築年帯の取引が数件しか出てこない
  20. 症状2:計算した㎡単価が、うちいくらの中央値より明らかに低い
  21. 症状3:会社によって査定額が1,000万円違う
  22. 症状4:一括査定を使ったら、電話が鳴りやまない
  23. 症状5:「築40年なので建物の価値はゼロです」と言われた
  24. 一次情報:公的なデータは何と言っているか
  25. 国土交通省 不動産価格指数
  26. 国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
  27. 国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」
  28. 国税庁:買主側の築年数要件
  29. 国税庁:売主側の期限
  30. 参考:中古住宅を買った世帯がいくら払っているか
  31. Q. 「築10年以内に売るのが一番いい」と聞きました。本当ですか?
  32. Q. 築30年の戸建です。リフォームしてから売ると高く売れますか?
  33. Q. うちいくらの㎡単価をかけた金額で売れますか?
  34. Q. 築41年を超えたら、もう売れないのでしょうか?
  35. Q. 一括査定を使わずに相場を知る方法はありますか?

結論を3行で 📊

  1. 中古マンションは、築16〜20年に入るところで最も急に下がります。うちいくらの集計では、㎡単価の中央値が築11〜15年帯から築16〜20年帯へ移るときに13.2%下がりました。年あたり約2.8%です。
  2. 中古戸建は、築26年を過ぎると下落がほぼ止まります。築21〜25年帯から築26〜30年帯へは6.4%下がりましたが、築31〜35年帯へは2.8%、築36〜40年帯へは2.2%しか下がっていません。建物の値が抜けきって、土地の値に近づくためと考えられます。
  3. だから「何年で売るか」の答えは、マンションと戸建で違います。マンションは帯をまたぐ前に動く意味がありますが、戸建で築30年を過ぎている人は、築年数を理由に急ぐ根拠がデータ上は薄いです。

ひとつ前提を置きます。ここに出す㎡単価は実際に取引が成立した価格の集計であって、不動産会社が出す査定額ではありません。査定額は「この値段なら売れるだろう」という会社の見立てで、そのまま売却価格になるものではありません。

築年帯別 ㎡単価中央値の推移(うちいくら集計・82エリア) 築年帯別の㎡単価 中央値(82エリア・うちいくら集計) 80 40 0 万円/㎡ 下げが急 戸建はここでほぼ横ばい 0-5 6-10 11-15 16-20 21-25 26-30 31-35 36-40 41〜 築年数(年) 中古マンション(専有面積あたり) 中古戸建(延床面積あたり)

この記事が当てはまる人・当てはまらない人

先に判定してください。読み進める価値があるかどうかが変わります。

当てはまる人

  • 都市部(三大都市圏や地方の中核市)に、中古マンションまたは中古戸建を持っている
  • 築5年〜築45年くらいの範囲にある
  • まだ不動産会社には相談していない。まず自分で相場感をつかみたい

当てはまりにくい人

  • 借地権付きの建物、再建築不可の土地、市街化調整区域の物件。取引事例が少なく、㎡単価の中央値から大きく外れます
  • 一棟アパート、店舗併用など、住宅以外の用途が混ざる物件
  • 取引そのものが年に数件しかないエリア。今回の82エリアは、築年帯ごとに一定の件数が取れたエリアだけを残しています

判断を急いだほうがいい人

築年数より先に効く「期限」がある場合です。相続した空き家、住まなくなった自宅、いま住んでいる家。それぞれ税制上の期限が違います。ここは後半の「一次情報」の章で扱います。

うちいくらの集計方法(ここを読まずに数字だけ持ち帰らないでください)

自社の集計値なので、どう作ったかを先に開示します。

項目 内容
元データ 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で公開されている不動産の取引価格情報
対象期間 2023年第1四半期〜2025年第3四半期の公表分
対象種別 中古マンション等(区分所有)/宅地(土地と建物)のうち用途が住宅のもの
㎡単価の定義 取引総額 ÷ 面積。マンションは専有面積、戸建は延床面積
築年数の定義 取引時期の年 − 建築年
外れ値処理 エリア・築年帯ごとに、㎡単価の上下5%を除外
エリアの採用条件 各築年帯で取引が30件以上あること。これを満たした市区が82あった
「全体」の値 82エリアそれぞれの中央値を並べ、そのさらに中央値をとった値
集計時点 2026-09-03時点

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平均ではなく中央値を使っています。 平均だと、たまたま出た超高額な1件に引っ張られます。中央値は「ちょうど真ん中の取引」なので、自分の家に当てはめやすい数字になります。

そのうえで、限界も書いておきます。

  • 元になる取引価格情報は、国土交通省が取引当事者に行ったアンケートの回答をもとにしたものです。すべての取引が載っているわけではありません
  • 公表にあたって、物件が特定できないよう加工が入っています。そのぶん㎡単価には誤差が乗ります
  • 戸建の「延床面積あたりの単価」には土地の値段が含まれます。同じ延床100㎡でも、敷地が広ければ単価は上がります。マンションの数字ほど素直には比べられません

だから、この数字はレンジの目安として使ってください。ピンポイントの値段ではありません。

中古マンションは、築16〜20年に入るところで一番落ちる 💰

まず表です。82エリア全体の値。

築年帯 ㎡単価の中央値 前の帯からの下落率 年あたり
築0〜5年 78.5万円 — —
築6〜10年 72.9万円 ▲7.1% ▲1.5%
築11〜15年 66.1万円 ▲9.3% ▲1.9%
築16〜20年 57.4万円 ▲13.2% ▲2.8%
築21〜25年 50.8万円 ▲11.5% ▲2.4%
築26〜30年 46.9万円 ▲7.7% ▲1.6%
築31〜35年 43.6万円 ▲7.0% ▲1.4%
築36〜40年 38.2万円 ▲12.4% ▲2.6%
築41年〜 34.7万円 ▲9.2% ▲1.9%

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※うちいくら集計、2026-09-03時点。

落ちるペースが速い帯が2つあります。築16〜20年と築36〜40年です。

自分の家だとどうなるか

70㎡のマンションで計算します。

  • 築13年(築11〜15年帯):66.1万円 × 70㎡ = 約4,630万円
  • 築18年(築16〜20年帯):57.4万円 × 70㎡ = 約4,020万円

差は約610万円。5年で610万円ということは、年あたり120万円ちょっとです。

ただ、これを「築15年のうちに売らないと610万円損する」と読むのは早いです。理由は2つあります。

ひとつ。この間もあなたはその家に住んでいます。売って賃貸に移れば家賃がかかります。年120万円は、月10万円です。家賃と比べたら、そこまで大きな差ではないかもしれません。

もうひとつ。㎡単価は築年数だけで決まっていません。同じ期間に相場そのものが動きます。国土交通省の不動産価格指数(住宅)では、マンション(区分所有)の指数が上がってきた局面が続いています。詳しくは後述しますが、築年数のマイナスを相場の動きが打ち消すことも、逆に増幅することもあります。

中古マンション 帯に入るときの年あたり下落率(うちいくら集計) その帯に入るときの「年あたり下落率」(中古マンション) 3.0% 1.5% 0 1.5 1.9 2.8 2.4 1.6 1.4 2.6 1.9 6-10 11-15 16-20 21-25 26-30 31-35 36-40 41〜 築年帯(年) ※オレンジ=下げが急 緑=いちばんゆるやか

なぜ築16〜20年で急に落ちるのか

うちいくらの集計はあくまで結果の数字なので、理由は断定できません。ただ、市場の作りとしていくつか説明がつく点はあります。

  • 設備の更新期にあたる。 給湯器、浴室、キッチンといった住宅設備の入れ替えが必要になる時期です。買う側は「入居後にリフォーム費用がかかる」と見て、その分を差し引きます
  • 管理組合の大規模修繕と重なりやすい。 修繕積立金の値上げや一時金の話が出ていると、買う側は身構えます
  • 買主の住宅ローンの組みやすさ。 築年数が伸びると、金融機関によっては借入期間に制限が入ることがあります。国土交通省の指針も、担保評価の局面で「一部金融機関等では、集合住宅(マンション)に係る住宅ローンの借入期間を一律に築後35年〜60年以内に限定している場合がある」と注記しています

築36〜40年帯でもう一段落ちるのは、建築確認が1981年(昭和56年)5月31日以前かどうか、という耐震基準の線をまたぐ物件が混じってくる帯だからと考えられます。この線は、後述するとおり買主の住宅ローン控除にも効きます。

中古戸建は、築26年を過ぎると下がらなくなる 🏠

戸建は形がまったく違います。

築年帯 延床㎡単価の中央値 前の帯からの下落率 年あたり
築0〜5年 55.2万円 — —
築6〜10年 49.6万円 ▲10.1% ▲2.1%
築11〜15年 44.3万円 ▲10.7% ▲2.2%
築16〜20年 38.9万円 ▲12.2% ▲2.6%
築21〜25年 34.6万円 ▲11.1% ▲2.3%
築26〜30年 32.4万円 ▲6.4% ▲1.3%
築31〜35年 31.5万円 ▲2.8% ▲0.6%
築36〜40年 30.8万円 ▲2.2% ▲0.4%
築41年〜 30.1万円 ▲2.3% ▲0.5%

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※うちいくら集計、2026-09-03時点。延床面積あたりの単価なので、土地の値段が含まれます。

築0〜5年から築25年までで、単価は約37%落ちます。ところが築26年以降の15年間で落ちたのは、合わせて7%ほどです。

建物の値が抜けきると、あとは土地の値段が残る。 ざっくり言うとそういうことです。

ここが「築20年で価値ゼロ」の正体

この形は、国土交通省の資料とも符合します。

国土交通省の資料「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」には、中古戸建住宅の価格査定の例として、木造戸建住宅の価値が築後20年前後でほぼゼロに近づく試算グラフが載っています。ポイント欄には「戸建住宅の場合、築後20年で価格はほぼゼロに」と書かれています。同じ図の中で、中古マンションのカーブはもっとゆるやかに描かれています。

さらに国土交通省が平成26年3月にまとめた「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」には、こう書かれています。

法人税法上の耐用年数(木造住宅は22年)などを参考にして、住宅の状態にかかわらず、一律に築後20〜25年程度で住宅の市場価値がゼロとされる取扱いが一般的である。

つまり、築20〜25年で建物の値をゼロにするのは、物件の傷み具合を見た結果ではなく、業界の計算慣行だったということです。国交省自身がそう書いています。

うちいくらの集計で築26年以降に下落が止まるのも、この慣行の裏返しと考えると筋が通ります。ゼロになったものは、それ以上ゼロにはなりません。

自分の家だとどうなるか

延床100㎡の戸建で計算します。

  • 築22年(築21〜25年帯):34.6万円 × 100㎡ = 約3,460万円
  • 築32年(築31〜35年帯):31.5万円 × 100㎡ = 約3,150万円

10年待って差は約310万円。年あたり31万円です。

築18年の人(38.9万円 × 100㎡ = 約3,890万円)が5年待って築23年になると、約430万円下がる計算になります。年86万円。戸建で「急いだほうがいい帯」があるとすれば、築16〜25年です。 そこを過ぎたあとは、少なくとも築年数を理由に急ぐ根拠は薄くなります。

なお、ここで下げ止まっているのは「単価」であって、土地の価格が動けば総額は動きます。将来こうなる、とは書けません。

82エリアの内訳を見ると、全国一律ではない 🗾

全体の中央値だけ見ると「どこも同じように下がる」と思ってしまいます。実際はかなりバラつきます。

うちいくら集計の82エリアのうち、中古マンションで築11〜15年帯から築16〜20年帯への下落率を見ると、こうなりました。

指標 値
82エリアの中央値 ▲11.5%
最も落ち込みが小さかったエリア ▲4.1%
最も落ち込みが大きかったエリア ▲21.6%
下落率が10%未満だったエリア数 31/82

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同じ「築15年から築20年」でも、エリアによって倍以上の差があります。

戸建はもっと極端です。築26〜30年帯から築31〜35年帯への下落率が3%未満(ほぼ横ばい)だったエリアは、82のうち47ありました。 半分以上のエリアで、この5年間は単価がほとんど動いていません。

また、中古マンションで築36〜40年帯の㎡単価が築31〜35年帯を上回ったエリアが9つありました。再開発の近くや、駅前の古い大型団地が含まれるエリアです。「築年数が古いほうが単価が高い」という逆転が、現実の取引としては起きています。

エリア別の例を出します。中古マンションの㎡単価中央値です。

エリア 築6〜10年 築16〜20年 築26〜30年 築36年〜 6-10年帯からの差
東京都世田谷区 128.4万円 103.7万円 88.2万円 71.5万円 ▲44%
東京都江東区 118.9万円 96.3万円 74.8万円 58.6万円 ▲51%
神奈川県横浜市青葉区 76.2万円 60.4万円 48.9万円 38.1万円 ▲50%
千葉県船橋市 68.5万円 54.1万円 42.6万円 32.9万円 ▲52%
埼玉県川口市 71.3万円 57.8万円 45.2万円 34.4万円 ▲52%
大阪府大阪市西区 96.7万円 78.5万円 62.1万円 47.3万円 ▲51%
愛知県名古屋市中区 82.1万円 66.8万円 52.4万円 40.7万円 ▲50%
福岡県福岡市中央区 89.4万円 70.2万円 54.9万円 42.8万円 ▲52%

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※うちいくら集計、2026-09-03時点。中央値なので、同じエリアでも駅からの距離や階数で上下します。

世田谷区の落ち方が他より小さいのが分かります。土地の値段が高いエリアほど、建物が古くなったときの目減り割合は小さくなります。総額に占める土地の割合が大きいからです。

逆に言うと、土地が安いエリアのマンションほど、築年数のダメージがそのまま総額に出ます。

手順:自分の家がどの帯にいるか、30分で確かめる 📋

ここからは実際の作業です。不動産会社に連絡する前に、自分でここまでできます。

手順1:建築年月を確定する

登記事項証明書の「原因及びその日付」に新築の年月が入っています。手元になければ、購入時のパンフレットや売買契約書でも構いません。

ここで失敗しやすい:「入居した年」と「建築された年」は違います。分譲マンションを新築で買った人はほぼ同じですが、中古で買った人は要注意です。住宅ローン控除の判定でも、国税庁は登記事項証明書の建築日付で見ると明記しています。

手順2:不動産情報ライブラリで、同じ帯の取引を引く

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」(reinfolib.mlit.go.jp)を開きます。地図上で自分の市区を選び、種別を「中古マンション等」または「宅地(土地と建物)」に絞ります。

無料です。会員登録も要りません。不動産会社に連絡する必要もありません。

ここで失敗しやすい:表示されるのは「価格」と「面積」で、㎡単価は自分で割ります。そして面積は加工されて公表されているので、割り算の結果には誤差が乗ります。1件だけ見て判断しないでください。10件以上並べて、真ん中あたりを見ます。

手順3:㎡単価 × 自分の面積で、レンジを作る

出てきた㎡単価の中央値に、自分の家の面積をかけます。

そのうえで、±15%の幅を持たせてください。 中央値ちょうどで売れる家はむしろ少数です。「4,000万円」ではなく「3,400万〜4,600万円のどこか」と捉えるのが実態に近いです。

手順4:次の帯に入るまで、あと何年か数える

築18年なら、築21〜25年帯に入るまであと3年です。表を見て、その帯の下落率を確認します。

  • 帯をまたぐと10%以上落ちる位置にいる → 検討を前倒しする意味がある
  • 帯をまたいでも3%程度 → 築年数を理由に急ぐ必要は薄い

手順5:築年数より強い「期限」がないか確認する

次の3つのどれかに当てはまるなら、㎡単価の話より先にこちらを見てください。

状況 期限 根拠
いま住んでいる自宅を売る 3,000万円特別控除は所有期間の長短に関係なく使える 国税庁 No.3302
過去に住んでいた家を売る 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで 国税庁 No.3302
相続した空き家を売る 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで 国税庁 No.3306

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税額の細かい判定は税理士の領域です。ここでは「期限があるらしい」ということだけ持ち帰って、当てはまりそうなら早めに専門家に確認してください。

手順6:それから、はじめて査定を取る

ここまでやってから査定を取ると、出てきた数字を評価できます。

自分で出したレンジの上限を大きく超える査定額が出たら、そこで即決しないでください。理由は次の章です。

築年帯からの分岐 自分の築年帯を確定 マンション 築11〜15年 次の帯で年▲2.8% 前倒しを検討する余地あり 戸建 築16〜25年 建物価値が抜けていく帯 下げが最も速い区間 戸建 築26年以降 年▲0.4〜1.3%で横ばい 築年数を理由に急がない どの帯でも、先に「税制上の期限」を確認する 住まなくなって3年/相続開始から3年 ※判断は税理士へ

うまくいかないときの分岐

症状ごとに書きます。

症状1:自分の市区で、同じ築年帯の取引が数件しか出てこない

原因:不動産情報ライブラリの取引価格情報は、取引当事者へのアンケート回答をもとにしたものです。全取引が載っているわけではありません。地方や、そもそも取引の少ないエリアだと件数が集まりません。

対処:築年帯を10年きざみに広げます。それでも足りなければ、隣接する市区や、同じ路線の類似駅まで範囲を広げます。かわりに「駅からの距離」の条件は揃えてください。距離を無視して広げると、まったく比較にならない数字が混ざります。

症状2:計算した㎡単価が、うちいくらの中央値より明らかに低い

原因の候補:

要因 効き方
1階または最上階以外の低層階 マンションで単価が下がりやすい
北向き・専有部の間口が狭い 同上
借地権付き 所有権より大きく下がる
再建築不可(接道義務を満たさない) 戸建で大きく下がる
敷地が狭い/旗竿地 戸建で下がる
修繕積立金が著しく不足している マンションで下がる

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対処:これらは築年数では説明できない要因です。中央値と比べて低いこと自体は異常ではありません。「築年数のせい」と決めつけて売却を急がないでください。

症状3:会社によって査定額が1,000万円違う

原因:査定額は、その会社が「これなら売れると思う」金額です。査定額はそのまま売却価格になりません。 そして、査定額の出し方には売主が不利になりやすい構造があります。

媒介契約(不動産会社に売却を任せる契約、という意味です)を取るために、高めの査定額を出す会社があります。高い数字を出したほうが選ばれやすいからです。契約してから「反響がないので価格を下げましょう」と言われる、という流れは実際に起こります。

もうひとつ、両手仲介という仕組みがあります。1社が売主と買主の両方から手数料を受け取る形です。会社の取り分は倍になります。そのため、他社経由の買主候補を断って自社で買主を探そうとする動き(囲い込みと呼ばれます)が起こりうる、という構造上の指摘が業界内でされてきました。

囲い込みが起きると、売主にとっては買主の候補が減ります。結果として売れるまで時間がかかり、値下げ圧力がかかります。

対処:

  • 査定額そのものではなく、その額を出した根拠の取引事例を見せてもらう。事例が自分で調べた不動産情報ライブラリの水準とかけ離れていたら、なぜかを聞く
  • 媒介契約の種類を理解する。専任・専属専任にするなら、レインズ(指定流通機構)への登録状況の報告を必ず受け取る
  • 「一番高い査定額を出した会社に任せる」という選び方をしない

症状4:一括査定を使ったら、電話が鳴りやまない

これは実際に起こります。警戒するのは正しい反応です。

一括査定サイトは、入力した情報を複数の不動産会社に一度に渡す仕組みです。会社側は営業機会として受け取るので、申し込み直後にまとめて連絡が来ます。 数社に依頼すれば数社から、6社なら6社から来ます。日中に仕事をしている人にとっては、それ自体が負担です。

対処:

  • 申し込みフォームの「備考」「要望」欄に、連絡方法をメールに限定する旨を書く。これに応じない会社は、そもそも売主の希望を聞かない会社だと分かります
  • 依頼する会社数を最初から2〜3社に絞る。多く出せば高い査定額が出る、というものではありません
  • 電話番号を入れる欄が必須なら、つながる時間帯も一緒に書く
  • そもそも、まだ相場だけ知りたい段階なら、この記事の手順2〜3で足ります。不動産情報ライブラリなら誰にも連絡先を渡さずに済みます

症状5:「築40年なので建物の価値はゼロです」と言われた

原因:前述のとおり、これは物件の状態を見た判断ではなく、原価法という計算方法の運用慣行です。国土交通省の指針は、この慣行そのものを「改めるべき」としています。

指針にはこう書かれています。

木造戸建て住宅の機能は現在の市場慣行である20〜25年よりも相当程度長く維持されることが確認され、20〜25年程度で一律減価させる現在の取引市場における運用・慣行は、できるだけ早期に住宅の機能に応じた減価修正を行う方法に改めるべきである。

対処:建物を分けて評価してもらうよう頼んでみてください。指針は、住宅を「基礎・躯体」と「内外装・設備」に分け、基礎・躯体の機能が維持されている限り、リフォームによって使用価値は「何度でも回復・向上する」という原則を置くべきだとしています。

ただし、これは2014年に出た指針であって、すべての会社が従っているわけではありません。言えば必ず評価が上がる、という話ではありません。

一次情報:公的なデータは何と言っているか

ここまでの話の裏付けです。

国土交通省 不動産価格指数

国土交通省は、年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに不動産価格指数を作成し、毎月公表しています。2010年平均=100が基準です。

令和7年12月26日に公表された令和7年9月分(季節調整値)では、こうなっていました。

指数 令和7年9月 令和6年9月
住宅総合 145.4 140.9
住宅地 120.7 —
戸建住宅 118.6 —
マンション(区分所有) 222.2 205.9

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マンションと戸建の差が大きいのが分かります。2010年を100としたとき、マンションは222.2、戸建住宅は118.6です。同じ「住宅」でも、この15年の動き方はまったく違いました。

同じ資料には都道府県別も載っています。東京都は住宅総合180.7、マンション233.5。愛知県は住宅総合123.3、マンション219.4。地域差も相当あります。

過去がこう動いた、という話です。この先どうなるかは書けません。 相場予測を断定する材料は、この指数からは出てきません。

国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」

「中古戸建住宅の価格査定の例」という図に、ポイントとしてこう書かれています。

住宅の市場価値は、経年により減少。戸建住宅の場合、築後20年で価格はほぼゼロに。

図には4本の線が引かれています。中古マンション(ヘドニック法による分析)、中古マンション(減価償却年数47年による)、木造戸建住宅(不動産流通近代化センターのマニュアルに基づく試算)、木造戸建住宅(減価償却年数22年による)。

木造戸建の2本は築22年前後で10%前後まで落ちて、そこから横ばいになっています。マンションの2本は築35年時点でも30%台を保っています。

うちいくらの集計で、戸建の下落が築26年以降に止まったこと。マンションと戸建で形が違ったこと。この図と方向は一致しています。

同じ資料には、平成20年時点の既存住宅流通シェアが約13.5%だったこと、欧米諸国では7割〜9割程度であることも載っています。日本は中古が動きにくい市場だ、という前提はここにあります。最新の推移は国土交通省「令和7年度 住宅経済関連データ」(令和7年9月30日現在)に「既存住宅流通シェアの推移」として収録されています。

国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」

平成26年3月に国土交通省が策定した指針です。報道発表資料には、策定の背景としてこう書かれています。

個別の住宅の状態にかかわらず一律に築後20〜25年で建物の市場価値をゼロとされる

指針本体は、この状況を改善するために、

  1. 住宅を「基礎・躯体」と「内外装・設備」に分けて評価する
  2. 基礎・躯体は性能に応じて20年より長い耐用年数を設定する(認定を受けた長期優良住宅なら100年超も許容)
  3. 基礎・躯体の機能が維持されている限り、リフォームによる価値の回復・向上を評価に反映する

という方向を示しています。

指針の中には「近年の中古戸建て住宅市場をみると、築30年以上の物件が流通する割合が増加しており」という記述もあります。築30年超が売れないわけではない、ということです。

なお、この指針は主として木造戸建住宅を対象としています。軽量鉄骨造や鉄筋コンクリート造への適用は「今後の検討課題」と明記されています。

国税庁:買主側の築年数要件

売る側の話をしていますが、買う側にどう見えるかが価格に効きます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の中古住宅の要件について、国税庁は「昭和57年1月1日以後に建築されたものであること」と示しています。判定は登記事項証明書の建築日付です。

昭和56年12月31日以前の建物でも、取得の日前2年以内に耐震基準に適合することの証明を受けているなど、一定の条件を満たせば対象になります。ただし手続きは増えます。

2026年時点で、昭和57年1月1日は築44年前後の線です。うちいくらの集計で築36〜40年帯にもう一段の下落が出ていたことと、この線の位置は近いところにあります。

国税庁:売主側の期限

特例 主な要件 出典
居住用財産の3,000万円特別控除 所有期間の長短に関係なく適用可。以前住んでいた家は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること 国税庁 No.3302
相続した空き家の3,000万円特別控除 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物登記でないこと、相続開始の直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと。相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。相続人が3人以上の場合、令和6年1月1日以後の譲渡は2,000万円 国税庁 No.3306
長期譲渡所得 譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超なら、所得税15%・住民税5%(別途、復興特別所得税) 国税庁 No.3208

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相続空き家の特例は、「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」に限られるという、築年数がそのまま要件になっている珍しい制度です。しかも「売却時に一定の耐震基準を満たす」か「家屋を全部取り壊して敷地を売る」かの選択が必要です。令和6年1月1日以後の譲渡では、売却後、その年の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを完了させる選択肢も加わっています。

ここは個別判断が難しい領域です。 適用できるかどうかで手取りが数百万円変わります。当てはまりそうなら、売り出す前に税理士に確認してください。この記事は制度の一般的な説明にとどめます。

参考:中古住宅を買った世帯がいくら払っているか

国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」(令和7年6月公表)によると、住宅購入資金の中央値は、

  • 既存戸建住宅:2,400万円(平均2,917万円)
  • 既存集合住宅:2,560万円(平均2,919万円)

でした。既存住宅の調査票回収数は1,032件、注文住宅を除いて三大都市圏が対象です。

うちいくらの集計値(マンション70㎡・築16〜20年で約4,020万円)と比べると、だいぶ低く見えます。ただしこちらは調査対象や地域の取り方が違いますし、購入資金は「取得価額」なので、比べるときは注意が必要です。同じ「中古住宅の値段」でも、統計によってこれだけ違う数字が出ます。

よくある質問

Q. 「築10年以内に売るのが一番いい」と聞きました。本当ですか?

うちいくらの集計では、築6〜10年帯から築11〜15年帯への下落率は年あたり1.9%で、後の帯より小さい水準でした。下落が緩やかな帯に入っている、という意味では正しいです。

ただ、「だから今売るべき」にはなりません。売れば住むところを探す必要があります。引っ越し費用、仲介手数料、税金もかかります。年1.9%の目減りと、それらの実費を比べる話です。

そして相場そのものが動きます。築年数だけを見て売却時期を決めるのは、判断材料が足りません。

Q. 築30年の戸建です。リフォームしてから売ると高く売れますか?

一概には言えません。

国土交通省の指針は、基礎・躯体の機能が維持されている限り、内外装・設備の補修等によって住宅の使用価値は回復・向上すると考えるべきだ、としています。理屈のうえではリフォームは評価されるべきものです。

一方で、指針が「改善に向けた」ものであることが示すとおり、それが取引の現場に浸透しているとは限りません。 かけたリフォーム費用がそのまま価格に乗るとは考えないでください。

現実的な順番としては、まず今の状態で複数社の見立てを聞き、「どこを直せばいくら上がると思うか」を具体的に聞くことです。答えられない会社なら、その提案は根拠が薄いということです。

Q. うちいくらの㎡単価をかけた金額で売れますか?

売れません。これは成立した取引の中央値であって、あなたの家の売却価格ではありません。

同じ築年帯・同じエリアでも、駅からの距離、階数、向き、間取り、管理の状態、売り出した時期で大きく変わります。±15%くらいの幅を持って、レンジとして使ってください。

そして繰り返しますが、不動産会社が出す査定額も売却価格ではありません。査定額・うちいくらの集計値・実際の成約価格は、それぞれ別のものです。

Q. 築41年を超えたら、もう売れないのでしょうか?

うちいくらの集計では、築41年以上の帯でも取引は成立しています。集計対象に含めるために各エリアで築年帯ごと30件以上という条件をつけていますが、82エリアすべてでこの条件を満たしました。

国土交通省の指針も「築30年以上の物件が流通する割合が増加している」と記しています。売れない、ということはありません。

ただし、買主の住宅ローン控除の要件(昭和57年1月1日以後の建築)にかかる時期です。買主側の手続きが増えるぶん、検討する人の数は減りやすくなります。

Q. 一括査定を使わずに相場を知る方法はありますか?

あります。この記事の手順2で使った国土交通省「不動産情報ライブラリ」は、連絡先を入力せずに取引価格情報を検索・ダウンロードできます。

そのほか、国土交通省は毎月「不動産価格指数」、また建物の売買を原因とした所有権移転登記件数をもとにした「既存住宅販売量指数」を公表しています。どちらも無料で見られます。

まず相場感だけつかんで、実際に売る意思が固まってから会社に連絡する。この順番なら、営業連絡の負担はかなり減らせます。


最後にもう一度。

築年数は、価格を決める要素のひとつにすぎません。うちいくらの集計で見えたのは、「一定のペースで下がっていくのではなく、急な帯とゆるやかな帯がある」ということです。

そして戸建の場合、その下落は築25年あたりでほぼ終わっています。「もう築何年だから」と焦る前に、自分がどの帯にいるのかを確かめてください。 帯によって、急ぐ理由があるかどうかが変わります。

数字はすべて2026-09-03時点のものです。相場は動きますし、この先どうなるかは誰にも断定できません。

出典